電解質⇒イオンで、電解質異常のイメージが湧く

電解質異常って、文系の人にはピンとこない日本語ですよね。正確には電解質平衡異常であって、「平衡」は大抵省略されています。平衡とはようするにバランスです。

そう考えれば、電解質のバランスが異常をきたしているという意味になりますが、そうすると問題なのは電解質がどういう意味かという話になります。

でも、この電解質、実は日本語ではわかりにくいのに、横文字に変換すると途端に知っている言葉になるんですよね。電解質を横文字にしてみると、それは、そう「イオン」です。

イオンといってもスーパーのことではありませんよ。空気清浄機のCMとかで、耳にしたことがある方のイオンです。

でも、イオンはよく聞くけど、ホントのところ、どういう意味?言葉として浸透しているがゆえに、今さら聞けない。そういう人、結構いると思います。よくわからないままに使って、言葉だけが広まるというのは、日本人の悪い癖です。

イオンというのは、一言でいうと水に溶けると電気を通す物質のことです。つまり電解質は水中では電気を帯びたイオンとなり、電気を通すようになるっていうことですね。

そして、体の中でイオンとなった電解質は、細胞の浸透圧を調節したり、筋肉細胞や神経細胞の働きに関わったりと、体を維持するために重要な役割を果たしているんですね。

ちなみに主な電解質(イオン)には、ナトリウムやクロール(塩素)、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあります。これらはみんなミネラルに属し、ミネラルは水に溶けると陽イオンと陰イオンに分かれます。例えば、塩化ナトリウム(NaCl)は、水に溶けるとナトリウムイオン(陽イオン)とクロールイオン(陰イオン)となるわけですね。

ああ、だんだんと高校時代に化学を真面目にやってこなかった人にはつらい話になってきましたね。

話を戻しますと、電解質異常とは、水に溶けてイオンとなった電解質(ナトリウムやカリウム、カルシウムなどその他もろもろ)が体の中でバランスよく存在していることによって、わたしたちの体は常に維持されているということです。

そして、人間の体がすごいなぁと思うのは、これらのそれぞれの電解質のバランスがちょっと崩れただけでも体調が悪くなり、場合によっては重大な病態を引き起こしてしまうという点ですね。それだけわたしたちの体は絶妙なバランスの下に生きているというわけなんです。

電解質平衡異常の話で、わかりやすい話としてよくあげられるのは、運動して汗をかいた時の話です。

皆さん、運動して汗をかいた時って、スポーツドリンクを飲みたくなりませんか?

あれって、電解質平衡異常の観点からいうと、汗をかくことによって、ナトリウムを放出してしまっているからなんです。つまり汗をかくことで、体の中のナトリウムが減ってしまった。そうすると、体はわたしたちの意識とは別に、ナトリウムを欲します。そして、そのときに脳裏に浮かんでくるのがスポーツドリンクです。なぜなら、スポーツドリンクにはナトリウムが多く含まれているからです。経験上、電解質とかナトリウムといった言葉を知らなくても、体が覚えているんですよね。汗をかいた時には、スポーツドリンクを飲むことで、体の中の電解質のバランスが正常に戻るということを。

ポカリスエットのCMで「イオンサプライ」というキャッチフレーズが言われているのは、まさにこのことです。あれは、イオンつまり電解質(主にナトリウム)がポカリスエットを飲むことでサプライ(供給)されますよっていう意味なんですね。

いやあ、こうして考えると、わたしたちの意識そのものが体の要求に支配されているんじゃないかと怖い感じもしますが、逆に言えば、それだけ精密にわたしたちの体が維持されていることに驚かされますね。