逆流性食道炎を患っている患者さんのカルテに胃食道逆流症(GERD)と記載されていることがあります。ドクターとしては何気なく書いたつもりかもしれませんが、ICD10のコード上、逆流性食道炎(K21.0)と胃食道逆流症(K21.9)とでは細分類が変わって来てしまうので、処理をする事務方にとっては併記をされてしまうと、どっちなんだ?と頭を抱えてしまう案件になってしまうますよね。
厳密にいえば、胃酸を多く含む胃の内容物が食道内に逆流している病態を胃食道逆流症(GERD)といい、その中で食道の粘膜に目に見える炎症(びらんや潰瘍などの粘膜障害)がある場合を逆流性食道炎、またそうした炎症がない場合を非びらん性胃食道逆流症(NERD)と呼びます。
つまり胃食道逆流症(GERD)と書かれていても、食道粘膜に目に見える炎症がある場合は、逆流性食道炎と細分類することが出来るし、炎症があるかどうかわからない場合は、胃食道逆流症(GERD)とまでしか診断することが出来ないということです。
ちなみにその判断の目安として、逆流性食道炎のグレードが書かれている場合があります。
《逆流性食道炎の分類》
グレードN:内視鏡的に変化を認めないもの
グレードM:色調が変化しているもの
グレードA:直径が5mmを越えない粘膜障害で粘膜ひだに限局されるもの
グレードB:少なくとも1カ所の粘膜障害が5mm以上あり、それぞれ別の粘膜ひだ上に存在する粘膜障害が互いに連続していないもの
グレードC:少なくとも1カ所の粘膜障害が2条以上のひだに連続して広がっているが、全周性でないもの
グレードD:全周性の粘膜障害
上の分類を見てわかるように、グレードA以降は粘膜障害がハッキリとあるので、それらがカルテに記載されている場合は、自信をもって逆流性食道炎のコードをつけて大丈夫だと思います。
ただ胃食道逆流症(GERD)のコードをつけて、大まかに言えば間違いではないんですけれどね。