似て非なるもの。大腸腺腫と大腸腺腫症に気をつけよ!

大腸ポリープとひと口にいっても色々と種類があります。大きくは腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分かれ、そのうちの腫瘍性ポリープの方は腺腫とがんに分かれます。つまり、いわゆる大腸ポリープの中でも大腸腺腫と呼ばれるものが、がん化する可能性があるという話です。

なので、内視鏡検査でも形状が腺腫と思われるものは、だいたい切除される、ていうか、がんと診断されていないもので、大腸ポリープとして切除されるもののほとんどは、この大腸腺腫というやつなんですね。

さて、その大腸ポリープの代表格ともいえる大腸腺腫ですが、非常に名前が似ていながらも全然違う紛らわしい病名があります。そうです。大腸腺腫症です。

正式には家族性大腸腺腫症といい、腫瘍性ポリポーシスなどとも呼ばれますが、省略されて大腸腺腫症と記載されてしまうと、大腸腺腫と間違いなく混同してしまいますね。

ちなみにこの大腸腺腫症は家族性と呼ばれるだけあって遺伝子疾患です。非常に稀な疾患で、概ね均一な大きさをした腫瘍性のポリープが100個以上びまん性に発生します。しかも、放っておくと、ほぼ確実にがん化するという恐ろしい病気なんですよね。

表記では「症」がつくかつかないかの違いなのに、いわゆる普通の大腸腺腫とはかなり違うというのがわかりますね。そして問題なのは、名前が似通っていながらもその実は全然違うのに、ICD10では同じコードに分類されてしまっていること。

D12.6になるのですが、これは紛らわしいです。しかも診療情報管理システムの入力画面には同じD12.6の中に「大腸腺腫」と「大腸腺腫症」が何の説明もなく併記されているので、何にも知らなければ大腸腺腫を大腸腺腫症として登録してしまうことも多々ありそうですね。

もう一度いいますが、大腸腺腫と大腸腺腫症はコードが同じでも違う病気です。大抵は、大腸腺腫の方でしょうが、登録する際には細心の注意が必要です。