【ホルモンとは?】
体内をいつも一定の状態に保つための主役が神経系とホルモンです。
体内が通常の状態から変わってくると、ホルモンを作る細胞からホルモンが分泌され、神経系と協力して体内を元に戻そうとします。
このホルモンを作る細胞の塊を内分泌腺と呼び、内分泌腺には、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、脾臓のランゲルハンス島、卵巣、睾丸(精巣)、松果体、胸腺があります。
【甲状腺について】
ⅰ)甲状腺は、食べ物に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを作り、血液中に分泌するところです。甲状腺ホルモンには、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。
ⅱ)甲状腺ホルモンを調節するために脳から送られる伝令が甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。甲状腺刺激ホルモン(TSH)は血液中の甲状腺ホルモンのほんの少しの変動も敏感にキャッチして、甲状腺ホルモンの量を一定に保つように指示しています。
ⅲ)甲状腺ホルモンは体内のタンパク質合成やエネルギーの代謝、酵素消費などの能力を高める作用があり、その種類はT4(サイロキシン)とT3(トリヨードサイロニン)に分かれます。
T4、T3が高値 ⇒ 甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病)、亜急性甲状腺炎、THS産生腫瘍など
T4、T3が低値 ⇒ 甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病、橋本病)、ヨード欠乏症など。
※これらの甲状腺の疾患は基本的に慢性病となります。
ⅳ)バセドウ病と橋本病はどちらも自己免疫疾患であるという共通点があります。
バセドウ病は、甲状腺を異物とみなして産生された抗体(TSHレセプター抗体)が、甲状腺を刺激し続けることによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて(甲状腺機能が亢進した状態)、結果的に身体の新陳代謝が活発になり過ぎる病気です。
〈ICD分類〉
甲状腺機能亢進症 ⇒ E05.0-9
バセドウ病 ⇒ E05.0
一方の橋本病は、甲状腺を異物とみなして産生された抗体(抗サイロブロブリン抗体、抗マイクロゾーム抗体)が、甲状腺自体の細胞を破壊していく病気です。甲状腺が破壊されると甲状腺ホルモンの分泌が減り(甲状腺機能が低下した状態)、身体の新陳代謝は停滞し、バセドウ病とほぼ反対の症状が現れます。
〈ICD分類〉
甲状腺機能低下症 ⇒ E03.0-9
橋本甲状腺炎(橋本病) ⇒ E06.3
ⅴ)甲状腺にしこりが出来るものを総称して、結節性甲状腺腫といいます。このうち良性のものには、甲状腺腺腫、腺腫様甲状腺腫(結節)、嚢胞の三種類があります。
〈ICD分類〉
単純性甲状腺腫 ⇒ E04.0
腺腫様甲状腺腫 ⇒ E04.9
嚢胞性甲状腺腫 ⇒ E04.2
びまん性甲状腺腫を伴う甲状腺中毒症 ⇒ E05.0
中毒性単発性甲状腺結節を伴う甲状腺中毒症 ⇒ E05.2
中毒性多結節性甲状腺腫を伴う甲状腺中毒症 ⇒ E05.2
甲状腺腫(詳細不明) ⇒ E04.0