膀胱炎

 
やまねこ
膀胱炎は圧倒的に女性に多い病気だニャ

【膀胱炎とは?】

膀胱は尿を溜める袋状の臓器で、袋の内面は柔らかい粘膜で出来ています。膀胱炎は、何らかの原因によって膀胱に炎症が起きている状態を指し、一般的な症状として、排尿痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、下腹部痛、尿の混濁、血尿などがみられます。

【膀胱炎の原因】

いくつもの原因がありますが、基本的に細菌感染によって発症するものが最も多いです。細菌の侵入は、主に直腸に常在している菌が会陰部を経て尿道から膀胱へ侵入して感染します(逆流性感染)。膀胱に侵入した細菌は、膀胱の粘膜組織内に入り、細胞を破壊する毒素を分泌します。これによって炎症が生じ、膀胱炎が発症します。

また膀胱炎は、女性に圧倒的に多い病気です。これは、女性の方が男性よりも尿道が短く、尿の出口と肛門や膣の距離が近いからで、体の構造上、細菌が膀胱内に入りやすいため膀胱炎を起こしやすいと言われています。男性では炎症は前立腺に起こるため、膀胱に炎症が及ぶのはすでに何らかの病気があるときです。

【膀胱炎の種類】

《単純性膀胱炎》

機能的・形態的に尿路に以上のない人の膀胱炎です。女性では尿意を我慢したり、冷えや月経が原因で起きることがあります。20~40代の性的活動期の女性が最も多く発症します。また閉経後の女性も女性ホルモンが低下するため、膣の常在菌である乳酸菌が減少し直腸内の細菌が侵入しやすくなることで罹患することが多いです。原因となる菌は、グラム陰性桿菌である大腸菌が約70%を占めます。そのほか、プロテウス菌、肺炎桿菌、腸球菌などがあります。

《複雑性膀胱炎》

「前立腺肥大症」「神経因性膀胱」「膀胱結石」などの下部尿路の基礎疾患に伴って、尿流が妨げられたり、カテーテルが長期間留置されたり、あるいは全身的抵抗力の低下などを感染の原因として発症する慢性膀胱炎です。基礎疾患を除去しなければ感染症は治癒しないことが多いです。原因となる菌はグラム陰性桿菌が多いですが、約半数の患者が複数の菌に感染しています。特にカテーテル留置中は、緑膿菌、メチシリン耐性ブドウ球菌、拡張型βラクタマーゼ産生菌などの、複数の薬剤に対して耐性を持つ細菌もよく見られます。

《間質性膀胱炎》

何らかの原因で膀胱の粘膜の内側の層に炎症が起き、筋肉が萎縮する非細菌性の慢性炎症性膀胱疾患です。尿が膀胱の粘膜にしみやすくなり、間質に炎症を起こします。その結果、膀胱に既存の血管から分岐して新しく形成された新生血管が集まってきたり、潰瘍が発生したりします。膀胱痛がひどく、膀胱が小さくなってしまうこともあります。

《嚢胞性膀胱炎》

嚢胞性膀胱炎は、膀胱粘膜に袋状の病変が発生します。

《真菌性膀胱炎》

真菌性膀胱炎は、真菌(カビ)の感染によって膀胱が炎症を起こすものです。

【膀胱炎の治療】

単純性膀胱炎「ニューキノロン系抗菌薬」を短期間で高用量服用することや、「セフェム系抗生剤」を5~7日間服用することが勧められています。

複雑性膀胱炎「経口ニューキノロン系抗菌薬」や「セフェム系抗生剤」を7~14日間長期服用し、症状の経過や菌に対する薬の効果を見ながら、抗菌薬の継続や変更を検討します。

間質性膀胱炎確実な診断と食生活の改善、薬物療法、外科的な膀胱拡張療法などがあります。

〈ICD分類〉

急性出血性膀胱炎 ⇒ N30.0

急性単純性膀胱炎 ⇒ N30.0

急性膀胱炎 ⇒ N30.0

間質性膀胱炎 ⇒ N30.1

慢性複雑性膀胱炎 ⇒ N30.2

慢性膀胱炎 ⇒ N30.2

放射線性膀胱炎 ⇒ N30.4

MRSA膀胱炎 ⇒ N30.8 U82.1

出血性膀胱炎NOS ⇒ N30.9

膀胱炎NOS ⇒ N30.9