不妊症

 
やまねこ
不妊症には、男女共通の原因、女性側の原因、男性側の原因があります。
 

【不妊症とは?】

不妊症とは、生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一年以上避妊をせずに性交を行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合のことをいいます。不妊のカップルは約10組に1組と言われていますが、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、この割合はもっと高いとも言われています。

【原因】

《男女共通の原因》

男女とも、加齢により妊孕性(妊娠する・させる力)が低下するということがわかっています。

女性は、加齢により子宮内膜症などの合併が増えること、卵子の質の低下が起こることが妊孕性低下の原因と考えられており、30歳を過ぎると自然に妊娠する確率は減り、35歳を過ぎると著明な低下を来たします。

男性は、女性に比べると緩やかですが、35歳ごろから徐々に精子の質の低下が起こります。

《女性側の原因》

排卵因子女性は排卵とともに女性ホルモンの分泌が変化し、その影響で子宮内膜も妊娠に向けて準備をします。しかし極端な月経不順の女性の場合、月経のような出血はあっても、排卵を伴わないことがあります。排卵がなければ妊娠はおこりません。排卵が起こらない原因としては、甲状腺など女性ホルモンを出す仕組みに影響を与える病気や、極度の肥満や体重減少、男性ホルモンが高くなるバランス異常(多嚢胞性卵巣症候群)などがあります。また全く月経がない場合、様々なホルモン分泌の異常や早期卵巣不全(早発閉経)の場合もあります。

卵管因子精子が卵子に向かい、受精した卵(胚)が再び子宮に戻るための道である卵管が、炎症などによって詰まっていると妊娠は起こりません。卵管炎や骨盤腹膜炎の原因となるクラミジア感染症にかかったことがある方が多く、ほとんど無症状であることもあります。

頸管因子子宮の出口を巾着のように閉めている筒のような部分を子宮頸管といいます。排卵が近づくと、子宮頸管を満たす粘液が精子を通しやすい状態に変化しますが、この粘液の分泌が少ないと、妊娠が起きにくくなります。

免疫因子精子を攻撃する抗体(抗精子抗体)を持つ女性の場合、子宮頸管や卵巣の中で抗精子抗体が分泌されてしまうと、妊娠が起こりません。

子宮因子子宮筋腫や子宮の先天的な形状異常などにより、子宮内膜の血流が悪かったり、子宮内に過去の手術や炎症による癒着などがあると、妊娠に至りません。

《男性側の原因》

造精機能障害精子の数の欠乏や運動性などの性状が悪いと、妊娠がしにくくなります。原因として精索静脈瘤などが挙げられますが、特に原因がなくても精子が充分に作られない場合もあります。

精路通過障害精子が精路で詰まっていると、射精できても、精子は排出されないために妊娠には至りません。過去の炎症(精巣上体炎)などにより精管が詰まっている場合などが原因に挙げられます。

性機能障害勃起障害(ED)、膣内射精障害など、性交で射精が出来ないものを言います。

【治療法】

タイミング法排卵日を予測し、そのタイミングに合わせて性交渉を持つことで自然な妊娠を目指す治療法です。生理不順などによる不妊の治療に適しています。

薬物療法女性ホルモンの分泌量の異常などによって正常な排卵が生じていない場合には、ホルモンバランスを整える薬や排卵を誘発する薬などによる治療が行われます。

人工授精精子の数が少ない、精子の運動性が悪い、性交障害、フーナーテスト不良などの場合に、精子を洗浄して運動性の良好な精子を集めて子宮に注入する治療です。

体外受精・顕微授精卵管の異常、精子の異常、免疫の異常、子宮内膜症の合併などで、通常の不妊治療で妊娠が困難な場合には体外受精や顕微授精が行われます。精子の数や運動性が正常な場合は、採取した卵子と精子を同じ容器内で自然に受精させる体外受精が行われますが、体外受精で受精しない場合や精子の数が少なく自然な受精が困難と予測される場合は、卵子内に精子を注入する顕微授精が行われます。

〈ICD分類〉

無排卵に関連する女性不妊症 ⇒ N97.0

卵管に原因する女性不妊症 ⇒ N97.1

子宮に原因する女性不妊症 ⇒ N97.2

子宮頸部に原因する女性不妊症 ⇒ N97.3

男性側要因に関連する女性不妊症 ⇒ N97.4

その他の原因の女性不妊症 ⇒ N97.8

女性不妊症NOS ⇒ N97.9

男性不妊症 ⇒ N46

人工授精 ⇒ Z31.1

試験管内受精 ⇒ Z31.2