【無月経とは?】
無月経とは、月経のないことをいいます。まず無月経は、大きく「生理的無月経」と「病的無月経」に分けることが出来ます。
《生理的無月経》
初経が来る前、閉経後、妊娠中、産後の授乳期などにおける、病的ではなく治療を必要としない無月経のことをいいます。
《病的無月経》
本来月経があるはずの性成熟期において異常な月経停止が起こっている状態のことをいいます。「原発性無月経」と「続発性無月経」に分けられます。
原発性無月経:18歳を過ぎても初経が起こらないもの。
続発性無月経:月経が3カ月以上停止しているもの。続発性無月経の方が頻度は高く、原発性無月経は比較的稀です。
【原因】
月経は、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が作用することで起こります。2種類の女性ホルモンの産生と分泌は、脳の視床下部と脳下垂体からのホルモンによって調節されています。この視床下部-下垂体-卵巣-子宮からなるホルモン分泌経路のどこかで障害が起きると無月経が起こります。これらの障害の原因には、内分泌疾患、先天異常、遺伝性疾患、薬剤などがあります。また無月経が原発性か続発性かによっても異なってきます。
《視床下部性》
原発性の原因:カルマン症候群、ローレンス・ムーン・ビートル症候群、特発性低ゴナドトロビン性性腺機能低下症(IHH)など
続発性の原因:視床下部の機能不全、キアリ・フロンメル症候群、アルゴンズ・デルカステイロ症候群、神経性食思不振症、体重減少性無月経など
《下垂体性》
原発性の原因:一部のIHH(GnRH受容体遺伝子変異によるもの)など
続発性の原因:シーハン症候群、下垂体腺腫など
《卵巣性》
原発性の原因:ターナー症候群、卵巣発育不全、抗がん剤、放射線治療後など
続発性の原因:双発卵巣不全、手術による卵巣摘出、抗がん剤、放射線治療後など
《子宮性》
原発性の原因:頸管閉鎖症、子宮奇形など
続発性の原因:アッシャーマン症候群、子宮内膜炎など
《膣性》
原発性の原因:処女膜閉鎖症、膣閉鎖症など
《その他》
原発性の原因:副腎性器症候群、精巣女性化症候群など
続発性の原因:多嚢胞性卵巣症候群など
※原発性無月経の原因としては卵巣性が多く、続発性無月経の原因としては視床下部性が大半を占めています。
【治療】
無月経の原因となる病気があるときは、可能であればその病気を治療します。ただしターナー症候群やそのほかの遺伝子疾患などのように、根治が望めない病気もあります。
〈ICD分類〉
原発性無月経 ⇒ N91.0
続発性無月経 ⇒ N91.1
無月経NOS ⇒ N91.2
原発性希発月経 ⇒ N91.3
続発性希発月経 ⇒ N91.4
希発月経NOS ⇒ N91.5