脳ヘルニア

 
やまねこ
脳ヘルニアとは、脳圧が上昇し、脳内の境界や隙間に脳組織の一部がはみ出したことをいうニャ

【脳ヘルニアとは?】

頭蓋骨には一定の体積の脳や髄液しか収まりません。したがって脳内の大きな腫瘍や外傷による血腫やむくみ(脳浮腫)、水頭症などが生じると、頭蓋内の圧は高まっていきます(頭蓋内圧亢進)。ある程度までは、脳が変形した状態で収まりますが、脳圧が一定以上に上昇すると、脳の変形だけでは耐えられず、脳内の境界や隙間に脳組織の一部がはみ出してしまいます。これが脳ヘルニアです。

【脳ヘルニアの症状】

初期の症状は、意識障害と脳に障害がある側の瞳孔の異常(瞳孔不同)です。そのうちに、呼吸が不規則で遅くなり、瞳孔の異常は両側になります。さらに進行すると、呼吸が止まってしまい、治療を行っても救命の可能性は低くなります。

【脳ヘルニアの分類】

脳ヘルニアは、ヘルニアが起きる過程で組織が通過する構造物に基づいて分類されます。

テント切痕(鉤)ヘルニア小脳テント上にある病変によって脳圧が上昇し、テント上の脳実質がテント切痕を越えて下方に入り込んだ状態です。意識障害や呼吸障害が生じます。

小脳扁桃(大孔)ヘルニア小脳出血などのテント下腫瘤の増大によって引き起こされます。小脳扁桃が大後頭孔を越えて押し出され、それが脳幹を圧迫して、髄液の流れが遮られます。

大脳鎌下(帯状回)ヘルニア大脳半球内の高い位置に生じた腫瘤の進展によって、帯状回が大脳鎌の下に押し出された状態です。傍正中部の皮質に梗塞が生じ、梗塞範囲が進展するにつれて、テント切痕ヘルニア、正中ヘルニア、またはその両方のリスクが高まります。

正中ヘルニア両側性の腫瘤効果またはびまん性脳浮腫によって、両側の側頭葉がテント切痕を越えて脱出した状態です。最終的に脳死に至ることもあります。

上行性テント切痕ヘルニアテント下腫瘤が脳幹を圧迫してねじれを所持させることで発生し、斑状に脳幹虚血が生じて、第3脳室後部が圧迫された状態です。上行性ヘルニアはまた、小脳上部に梗塞を引き起こすこともあります。

【治療】

脳圧を下げる薬の投与や頭蓋骨の一部を取り去って脳圧を開放する開頭減圧術、脳へのダメージを軽減する低体温療法などが行われます。

急性水頭症を併発している場合には、緊急でドレナージを行います。

また脳圧上昇の原因となる病変がある場合は、血腫だけでなくその部分ごと切除する場合もあります。

〈ICD分類〉

脳ヘルニア ⇒ G93.5