【過活動膀胱とは?】
過活動膀胱は、尿が充分溜まっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという排尿に関わる症状が現れる病気です。頻尿(トイレが近い)、尿意切迫感(急に尿意が起こる)などの症状が現れます。日本では、過活動膀胱は40歳以上の男女の14.1%が罹患していると言われています。
【原因】
脳血管障害、パーキンソン病、多系統萎縮症、認知症などの脳や、脊髄損傷、多発硬化症、脊髄小脳変性症、脊髄腫瘍、頚椎症、後縦隔靭帯骨化症、脊柱管狭窄症などの脊髄の神経疾患が過活動膀胱の原因となります。またそれ以外に、男性の場合は前立腺肥大症に合併することが原因となり、女性の場合は加齢や出産による骨盤底の筋肉が弱くなることで、脳からの命令をうまく出来ないことが原因となります。さらに様々な原因が複合して起こる場合や、明らかな原因疾患のない場合もあります。
【分類】
過活動膀胱は、神経系の異常で起こる神経因性過活動膀胱と神経系の異常とは関係なく起こる非神経因性過活動膀胱の二つに分けられます。
神経因性過活動膀胱:脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経変性疾患や外傷などにより、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経回路に障害が生じて起こります。
非神経因性過活動膀胱:前立腺肥大により、尿道を圧迫したり、膀胱を刺激したりして排尿を邪魔する場合や、出産や加齢によって子宮、膀胱、尿道などに支えている骨盤底筋と呼ばれる筋肉が弱くなった場合などに起こります。
【治療】
膀胱の筋肉が過剰に収縮するのを抑える働きや、膀胱の下流である尿度を広げやすくする働きを持つ抗コリン薬、β3作動薬などを使用します。また前立腺肥大症が原因と思われる過活動膀胱に対しては、α1遮断薬などが用いられます。
〈ICD分類〉
過活動膀胱 ⇒ N32.8