【蜂窩織炎(蜂巣炎)とは?】
人の皮膚の下には皮下脂肪があり、皮下脂肪の下には筋肉があります。蜂窩織炎(蜂巣炎)とは、皮膚の深いところから皮下脂肪にかけて細菌が感染した状態のことをいいます。書状は、腫れや痛み、発熱、寒気、関節痛やだるさなどです。
細菌の感染が広がるにつれ、感染部位に近いリンパ節が腫れてリンパ節炎やリンパ管炎を起こすこともあります。
蜂窩織炎(蜂巣炎)は、足の皮膚に最もよく生じますが、体のどの部位にも発生します。蜂窩織炎(蜂巣炎)が人から人にうつることはありません。
【原因】
蜂窩織炎(蜂巣炎)の原因は、まず擦り傷や虫刺されなどの傷や、アトピー、湿疹などの疾患によって、皮膚のバリア機能が破られることになります。この皮膚のバリア機能が破られた患部に細菌が感染することで蜂窩織炎(蜂巣炎)が発症します。
蜂窩織炎(蜂巣炎)の原因菌には多くの種類がありますが、一般的なのは連鎖球菌と黄色ブドウ球菌の二つです。二つともわたしたちの生活環境にいたるところに生息している細菌です。また抗菌薬に対して耐性を示すメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)なども増えています。ちなみに、皮膚の浅層に連鎖球菌が感染した場合は「丹毒」と呼ばれ、蜂窩織炎(蜂巣炎)とは区別されます。
【治療】
蜂窩織炎(蜂巣炎)の一般的な治療は抗生剤(抗菌薬)による薬物療法となります。連鎖球菌と黄色ブドウ球菌の両方に有効な抗菌薬(ジクロキサシリンやセファレキシンなど)が使われます。膿瘍があれば、皮膚切開をして排膿することもあります。また蜂窩織炎(蜂巣炎)を悪化させる病気の治療も必要となります。
〈ICD分類〉
手指及び趾の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ L03.0
四肢のその他の部位の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ L03.1
顔面の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ L03.2
体幹の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ L03.3
その他の部位の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ L03.8
蜂窩織炎(蜂巣炎)NOS ⇒ L03.9
眼瞼の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ H00.0
涙器の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ H04.3
外耳道の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ H60.1
鼻の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ J34.0
口腔の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ K12.2
肛門部および直腸部の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ K61.0-4
男性外性器の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ N48.2 N49.0-9
女性外性器の蜂窩織炎(蜂巣炎)⇒ N76.4
急性リンパ節炎 ⇒ L04.0-9
リンパ管炎 ⇒ I89.1
急性熱性好中球性皮膚炎(スウィート症候群)⇒ L98.2
好酸球性蜂窩織炎(蜂巣炎)(ウェルズ病)⇒ L98.3