【様々な爪の障害】
《陥入爪(かんにゅうそう)》
爪の側縁先端が周囲の皮膚に食い込み、皮膚に炎症を起こした状態のことをいいます。多くは、爪を短く切り過ぎてしまうことが原因です。つまり、爪を短く切り過ぎてしまうことによって、皮膚と爪に段差が生じてしまい、この状態のまま爪全体が伸びることで、爪が皮膚に食い込んでしまって陥入爪が発症します。
《巻き爪(過彎曲爪)》
陥入爪と似ている病態ですが、別の病態です。陥入爪は爪の角が皮膚に刺さって炎症を起こした状態であることに対して、巻き爪とは、爪が曲がって丸くなっている状態のことをいいます。ただし、巻き爪と陥入爪は合併することがあります。巻き爪の原因は、深爪た不適切な靴、外反母趾などです。
《爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)》
爪が先端から剥がれて、浮き上がってしまう状態、または爪甲が完全に失われた状態のことをいいます。主に女性にみられることが多く、またまれに足の爪にみられることもありますが、多くは手の爪にみられます。原因は、慢性的な爪への外力やマニキュアの慢性的な使用、爪真菌症などがあげられます。
《爪甲鉤弯症(そうこうわんしょう)》
爪が厚くなって極端に弯曲し、鉤のようになる爪異栄養(爪の質感の変化)症です。特に足の親指が好発部位で、爪の片側が反対側よりも早く伸びることで生じます。原因は多くの場合、反復な外傷によりものですが、乾癬などの病気でもみられます。
《ボー線(爪横溝症)》
ボー線(Beau line)とは、爪表面をわずかに横断する陥没溝です。爪母に一時的に生じた障害に一致して起こり、溝の幅が病変の期間を示します。すべての爪甲に生じた場合は、全身疾患に起因した可能性を考えます。特定の爪甲に生じた場合には、その爪周囲の湿疹や感染症に起因した可能性を考えます。
《黄色爪症候群》
黄色爪、リンパ浮腫、胸水などの呼吸病変の三つを呈する極めてまれな症候群です。爪は黄緑色となって巻き爪様になり、発育遅延が目立って爪甲剥離症になることも多いです。リンパ浮腫は比較的中等症で、特に下肢に認められます。また胸水が一度生じると、繰り返し再発する傾向があります。原因は今のところ不明です。
〈ICD分類〉
陥入爪 ⇒ L60.0
爪甲剥離症 ⇒ L60.1
爪甲鉤弯症 ⇒ L60.2
爪栄養障害 ⇒ L60.3
ボー線(爪横溝症)⇒ L60.4
黄色爪症候群 ⇒ L60.5
その他の爪の障害 ⇒ L60.8
爪の障害NOS ⇒ L60.9