乾癬

 
やまねこ
乾癬とは、盛り上がってかさぶた状になると同時に、炎症が生じた状態だニャ

【乾癬とは?】

乾癬(かんせん)とは、皮膚の角化・肥厚とともに炎症が生じた状態のことをいいます。皮膚科では炎症性角化症に分類されます。

症状は、患部が発赤し、盛り上がると同時に、角質が硬くなって病名に鱗屑(りんせつ:うろこ状の屑)が生じ、多くの場合は銀白色のかさぶたとなります。好発部位は、頭部や背部、腰から臀部、肘、膝、下腿などです。

【乾癬の原因】

乾癬は、皮膚が生まれ変わるまでの時間が著しく短縮することで、新しい表皮細胞が次々に増殖して上層へ向かっていき、一番表層にある未成熟な角質が積み重なって剥がれることで生じます。増殖した表皮は、慢性的に持続する炎症によって刺激を受け続けることで、病変が維持されていきます。

これらの表皮の異常をもたらす要因としては、遺伝子異常などの遺伝的(先天的)要因、外傷、紫外線、感染症、薬剤などの付加刺激による誘発やメタボリックシンドロームなどの環境的(後天的)要因、自己免疫的要因(自己抗体が同定されるまでには至っていませんが)などが挙げられます。

【乾癬の病型】

乾癬の病型は大きく分けて5つあります。最も一般的な尋常性感染のほかに、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、滴状乾癬があります。滴状乾癬以外の亜型は一般的に重症となります。

《尋常性乾癬(局面型乾癬)》

小さな赤い丘疹や紅斑が、徐々に隆起して角化していき、表面に鱗屑が付着して剥がれ落ちるようになります。個々の発疹が集まって地図上(局面)になることや、また大きな局面になって銀白色のかさぶた状になることもあります。ちなみに尋常とは、普通という意味で、乾癬の患者のうち、70~80%が尋常性乾癬です。好発部位は、頭部、肘、膝、臀部、大腿、下腿など外部から刺激を受けやすい部位です。

《関節症性乾癬(乾癬性関節炎)》

皮膚症状に加えて関節症状を伴います。関節リウマチに似た症状ですが、異なる病気で、乾癬の場合は、関節そのものというより腱や靭帯などの付着部の炎症から症状が始まることが分かっています。手指に関節炎として初発することが多いのですが、脊椎を含め全身のどの関節にも生じる可能性があります。

《膿疱性乾癬》

発熱や皮膚の発赤とともに、膿疱が多数現れる疾患です。尋常性乾癬の発症後に続発することもありますが、突然発症することもあります。膿疱には細菌が含まれていないので、周りにうつることはありません。限局型と全身に出来るタイプの汎発性膿疱性乾癬があり、汎発性膿疱性乾癬は、まれですが全身管理が必要になる例もあり、国の希少難治性疾患(指定難病)に指定されています。

《乾癬性紅皮症》

尋常性乾癬が全身に広がり、90%以上の皮膚が紅斑となり、大量の細かい鱗屑が剥がれ落ちます。膿疱性乾癬と並んで乾癬の重症の亜型で、発生率は乾癬患者全体のうち約1%となります。

《滴状乾癬》

扁桃炎などの溶連菌感染などがきっかけとなって生じる、比較的若年層に多く見られる疾患です。小さな水滴ほどの発疹が全身に現れるのが特徴です。きっかけとなった感染症を治療することで症状は治まりますが、まれに再発を繰り返して尋常性乾癬に移行することもあります。発生率は乾癬患者全体のうち約4%です。

《稽留性肢端皮膚炎(けいりゅうせいしたんひふえん)》

指先に膿疱が出来て、剥がれ落ちることが繰り返される疾患です。非常に稀な病気ですが、膿疱性乾癬と同じ病気と考えられています。

《掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)》

手のひらや足の裏に水疱や膿疱が繰り返し出来る疾患です。すねや膝、肘、頭部などに症状が現れることもあります。重要な合併症として、関節や付着部、骨などに炎症が起きる掌蹠膿疱症性骨関節炎があります。

【治療】

活性型ビタミンD₃やステロイドの外用薬が使用されます。病変が広範囲で重症の場合には、免疫抑制薬などの内複治療を行います。

〈ICD分類〉

尋常性乾癬 ⇒ L40.0

膿疱性乾癬 ⇒ L40.1

汎発性膿疱性乾癬 ⇒ L40.1

稽留性肢端皮膚炎 ⇒ L40.2

掌蹠膿疱症 ⇒ L40.3

掌蹠膿疱症性骨関節炎 ⇒ L40.3

滴状乾癬 ⇒ L40.4

乾癬性関節炎 ⇒ L40.5† M07.0-3、M09.0*

乾癬性紅皮症 ⇒ L40.8

乾癬NOS ⇒L40.9