【急性腎障害(AKI)とは?】
急性腎障害とは腎機能の急激な低下の結果、体液貯留(溢水)、電解質異常(高カリウム血症など)、毒素の蓄積(高窒素血症)などが出現する症候群とされます。
急性腎障害の一部の患者は慢性腎臓病(CKD)に移行し、やがて末期時に至り透析や腎移植が必要になる場合があります。
≪急性腎障害の原因≫
[腎臓に流れる血液が減る場合]
脱水:嘔吐、下痢、多尿、熱傷など
ショック:大出血など
[腎臓が直接障害される場合]
特殊な急性腎炎、水銀中毒、過激な運動後に筋肉が壊れた時、その他
[両側の尿路を閉塞してしまう場合]
両側の尿路結石、前立腺肥大、その他 ⇒ 透析主体の原因の除去によって治療。(透析期間は一時的な場合がほとんど)
【急性腎障害の分類】
○腎性(急性)腎不全(原因:急性尿細管壊死、急性間質腎炎、血管障害など)
○腎前性(急性)腎不全(原因:脱水、心不全、敗血病、不整脈、ネフローゼ症候群)
○腎後性(急性)腎不全(原因:結石、膀胱腫瘍、前立腺がん、前立腺肥大)
【急性腎障害と急性腎不全の違い】
これまで急激な腎機能低下を伴う病態を示す用語としては、「急性腎不全」が広く使われてきました。
しかし「急性腎不全」の疾患定義は必ずしも明確ではなく、近年「急性腎不全」を含みかつ明確に定義できる疾患概念として「急性腎障害」がしようされるようになっています。
【急性腎障害の定義とは】
[定義]
- 48時間以内にSCr値が≧0.3mg/dL上昇
- SCr値がそれ以前7日間以内に分かっていたが予想される基準値より≧1.5倍の増加
- 尿量が6時間にわたって<0.5mL/㎏/時に減少
[病期分類]
≪ステージ1≫
SCr:基準値の1.5~1.9倍 or ≧0.3mg/dLの増加
尿量:6~12時間で<0.5ⅿL/㎏/時
≪ステージ2≫
SCr:基準値の2.0~2.9倍
尿量:12時間以上で<0.5mL/㎏/時
≪ステージ3≫
SCr:基準値の3.0倍 or ≧4.0㎎/ⅾⅬの増加 or 代替療法の開始 or 18歳未満の患者ではeGFR<35mL/min/1.73㎡の低下
尿量:24時間以上で<0.3mL/㎏/時 or 12時間以上の無尿
〈ICD分類〉
尿細管壊死を伴う急性腎不全 ⇒ N17.0
急性皮質壊死を伴う急性腎不全 ⇒ N17.1
髄質壊死を伴う急性腎不全 ⇒ N17.2
急性腎前性腎不全 ⇒ N17.8
急性腎後性腎不全 ⇒ N17.8
急性腎不全NOS ⇒ N17.9
急性腎臓病(AKI) ⇒ N28.8