水腎症・水尿官症

 
やまねこ
水腎症も水尿管症も尿の流れが詰まることで引き起こされるニャ

【水腎症・水尿官症とは?】

通常、腎臓で作られた尿は、腎盂から尿管を通って膀胱へと流れていきます。この尿の流れが途中でせき止められてつまってしまい、腎盂から尿管にかけての部分が拡張してしまうことを「水腎症」、尿管から膀胱にかけての部分が拡張してしまうことを「水尿管症」といいます。こういう状態を「尿路閉塞」と呼びますが、完全に閉塞しているわけではなく、多くの場合、狭窄はあっても尿は流れています。

【原因】

水腎症を引き起こす原因として最も多いのが、「腎盂尿管移行部狭窄」といって、腎臓と尿管のつなぎ目が狭窄している場合です。水腎症の原因の約70~80%を占めています。その次に多いのが尿管と膀胱のつなぎ目が狭くなっている、「巨大尿管症」と呼ばれるものです。拡張した尿管の先端が膀胱の中に風船のように飛び出している場合は「尿管瘤」と呼ばれます。子どもの水腎症の場合は、先天的な狭窄がほとんどです。一方、大人の場合は、様々な病気が原因となって水腎症や水尿管症が引き起こされています。例を挙げると、尿路結石や尿管がん、前立腺がん、前立腺肥大症、腎嚢胞、神経因性膀胱などです。そのほか、慢性的な感染や、事故や手術などによる尿管の損傷によって引き起こされることもあります。

【治療】

水腎症・水尿管症を引き起こした原因によって治療内容は変わってきます。先天的な狭窄が原因となっている場合は、水腎症の程度が軽いものであれば経過観察のみになります。しかし、水腎症の程度が強い場合は、治療介入が検討されます。狭窄が原因となっている場合であれば、手術的な狭窄解除が行われます。また原因ががんなどによる狭窄であれば、原因となる病気に対しての外科的な摘出、薬物療法、放射線療法などが行われます。

〈ICD分類〉

尿管腎盂移行部閉塞を伴う水腎症 ⇒ N13.0

尿管狭窄を伴う水腎症 ⇒ N13.1

腎結石性および尿管結石性閉塞を伴う水腎症 ⇒ N13.2

水腎症NOS ⇒ N13.3

水尿管症NOS ⇒ N13.4

水腎症を伴わない尿管の屈曲および狭窄 ⇒ N13.5

脳腎症(乾癬を伴うN13.0-5の病態)⇒ N13.6

膀胱尿管逆流性尿路疾患 ⇒ N13.7

尿路閉塞NOS ⇒ N13.9

先天性水腎症 ⇒ Q62.0

尿管の先天性閉塞および先天性狭窄 ⇒ Q62.1

先天性巨大尿管症 ⇒ Q62.2

先天性尿管瘤 ⇒ Q62.3

尿管欠損 ⇒ Q62.4

重複尿管 ⇒ Q62.5

尿管の異常位置 ⇒ Q62.6

先天性膀胱尿管腎逆流 ⇒ Q62.7

尿管先天異常NOS ⇒ Q62.8