【腎がんとは】
腎臓内において、実質的な働きを担っている腎細胞ががん化し、悪性腫瘍になってしまうことをいいます。腎盂に発生する腎盂がんとは異なる病気です。腎細胞がんとも呼ばれています。腎がんに罹るのは、がん全体のうち約1%と言われ、女性よりも男性の方が約2倍かかりやすく、40歳以上の発症が多いです。
【腎がん(腎細胞がん)の組織型】
・淡明細胞型腎細胞がん(淡明細胞がん)
・乳頭状腎細胞がん
・嫌色素性腎細胞がん
・粘液管状紡錘細胞がん
・集合管がん(ベリニ管がん)
・転座型腎細胞がん
・透析嚢胞由来腎細胞がん
【それぞれの腎がん(腎細胞がん)の説明】
《淡明細胞型腎細胞がん(淡明細胞がん)》
淡明細胞がんは腎臓がん(腎細胞がん)の組織型の中で最も頻度が高く、70~80%が淡明細胞がんと言われています。60%にVHL遺伝子異常を伴うのが特徴で、発生母地は近位尿細管の上皮から発生するがんです。
《乳頭状腎細胞がん》
乳頭状腎がんは腎臓がん(腎細胞がん)の10~15%を占める組織型です。病理増を見てみると、乳頭状の名の通りがん細胞が乳頭状の構造になっています。サブタイプに1と2がありますが、タイプ1の方が一般的に予後は良好です。
《嫌色素性腎細胞がん》
腎がんの5%を占める組織型です。一般的に予後は良好です。
《粘液管状紡錘細胞がん》
ほかのがんに合併するケースが多い組織型で、腎がんの組織型の中でもっとも予後不良とされています。発生頻度は非常に稀です。
《集合管がん》
頻度は1%にも満たない組織型ですが、がん細胞の異型度が高く、紡錘細胞がんと同様に予後が非常に悪いです。
《転座型腎細胞がん》
成人腎細胞がんのうち、2~5%を占めると言われていますが、病理組織の多様性や確定診断の煩雑さから見過ごされる可能性が高い組織型と言われています。
《透析嚢胞由来腎細胞がん》
小さい嚢胞が多数集まることで腫瘤を形成している組織型です。一般的には予後は良好です。
【腎がん(腎細胞がん)の病期分類① ステージ分類】
腎臓がん(腎細胞がん)では、以下の表の通り病期分類がなされています。
[Ⅰ期] 腫瘍径が最大7㎝以下で腎臓に限局
[Ⅱ期] 腫瘍径が最大7㎝以上だか腎臓に限局
[Ⅲ期] 腫瘍の他組織への進展を認めるが、副腎・ゲロタ筋膜には進展していない、及び/または1個のリンパ節転移あり。
[Ⅳ期] 腫瘍が副腎・ゲロタ筋膜を超えている、及び/または2個以上の所属リンパ節転移あり、及び/または遠隔転移あり
Ⅲ期の他組織とは腎臓の静脈系である腎静脈や大静脈、腎周囲組織などが該当します。Ⅳ期の遠隔転移とは、腎臓から離れた臓器に癌細胞が発生し、そこでまた増殖し、肺や骨などでがんになることです。
【腎がん(腎細胞がん)の病期組織② TMN分類】
上記のステージ分類をするにあたってもとにされたのが、TMN分類です。こちらはステージ分類よりもさらに細分化されています。
《T(腎細胞がんがどのくらい広がっているか)》
[T1] 最大径≦7㎝で腎臓に限局
[T1a] 最大径≦4㎝で腎臓に限局
[T1b] 4㎝<最大径≦7㎝で腎臓に限局
[T2] 最大径≧7㎝で腎臓に限局
[T3] 腫瘍は主静脈に進展、または副腎に浸潤、または腎周囲脂肪組織に浸潤するが、ゲロタ筋膜を超えない。
[T3a] 腫瘍は副腎または腎周囲脂肪組織に浸潤するが、ゲロタ筋膜を超えない。
[T3b] 腫瘍は肉眼的に腎静脈または横隔膜下までの下大静脈に進展する。
[T3c] 腫瘍は肉眼的に横隔膜下の大静脈内に進展、または大静脈壁に広がる。
[T4] 腫瘍がゲロタ筋膜を超える。
[Tx] 原発腫瘍の評価不可能
《N(所属リンパ節転移はどの程度か》
[N0] 所属リンパ節の転移なし
[N1] 1個の所属リンパ節を認める。
[N2] 2個以上の所属リンパ節転移を認める。
[Nx] 所属リンパ節転移の評価不可能
《M(遠隔転移はあるか)》
[M0] 遠隔転移なし
[M1] 遠隔転移あり
[Mx] 遠隔転移の評価不可能
〈ICD分類〉
腎盂を除く腎がん(腎細胞がん) ⇒ C64