【クループ症候群とは?】
空気の通り道にある喉頭のうち、声帯の下が腫れて上気道が狭くなり空気が通りにくくなってしまう病気です。原因はウイルス性のものがほとんどで、小児が患うことが多く、夕方から夜にかけて症状が悪化します。
【クループ症候群の原因】
クループ症候群の主な原因としては以下のようなものが挙げられます。
・パラインフルエンザウイルスやアデノウイルスなどによる喉頭気管気管支炎。
・高熱と重篤な呼吸困難を伴い、急激な経過を辿るインフルエンザ桿菌などの細菌による急性喉頭蓋炎。
・異物や腫瘍などによる物理的な上気道閉塞。
・アレルギー反応による声門周囲の浮腫。痙性クループとも呼ばれます。
※なお急性声門下喉頭炎とは、喉頭気管気管支炎と痙性クループを含めた概念として使われます。
【クループ症候群と仮性クループ】
症候群としてのクループには、喉頭気管気管支炎、痙性クループ、細菌性気管炎、ジフテリア、急性喉頭蓋炎、喉頭異物、声門上部クインケ浮腫などが含まれます。
また仮性クループとは、症候群としてクループの中でジフテリア以外のものの総称です。
【クループ症候群の仮性クループ】
《ウイルス性クループ(喉頭気管気管支炎)》
一般的にクループと呼ばれ6カ月から4歳くらいの子どもに最も頻度が高い病態です。いわゆる風邪ウイルスの感染によって起こります。微熱や軽微な風邪症状に引き続き、嗄声、犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴が出現します。
《急性喉頭蓋炎》
喉の奥にある蓋状の構造である喉頭蓋に炎症が起こり、急性の経過で致命的な窒息をきたす非常に危険な病気です。2歳から6歳の子どもに好発します。
《細菌性気管炎》
高熱、吸気性喘鳴、犬吠様咳嗽が見られ、初期にはウイルス性クループと症状がよく似ています。1カ月から6歳に好発し、症状が急速に増悪し、死に至る可能性もあります。
《痙性クループ》
アレルギー反応による声門下の浮腫が原因といわれています。ウイルス感染を契機に発症することが多いようですが、感染とかかわりなく発症することもあります。先行する風邪症状や発熱は見られないことが多く、短時間ですぐに犬吠様咳嗽や吸気性喘鳴などの症状も消失するものの、同日内に、数日間繰り返すことが特徴です。6カ月から3歳に好発します。
《ジフテリア》
現在の日本では発症は年10例以下ですが、非常に重篤な疾患です。嗄声、犬吠様咳嗽、吸気性喘鳴などの症状から始まり、やがて極めて強い呼吸困難を生じます。
〈ICD分類〉
喉頭気管気管支炎 ⇒ J20.9
クループ気管支炎 ⇒ J20.9
急性声門下喉頭炎 ⇒ J04.0
急性声門下浮腫(痙性クループ)⇒ J04.0
細菌性気管炎 ⇒ J04.1
急性閉塞性喉頭炎 ⇒ J05.0
急性喉頭蓋炎 ⇒ J05.1
喉頭ジフテリア ⇒ A36.2