皮膚膿瘍、毛包炎、せつ(おでき)、よう

 
やまねこ
毛包炎、せつ(おでき)、ようは大きさによって分類されるニャ

【皮膚膿瘍とは?】

皮膚膿瘍とは、すべての皮膚表面に生じる可能性がある、皮膚の中に膿が貯留した状態のことをいいます。大きさは様々で通常は紅斑性です。

原因菌は、患部の皮膚の常在菌です。頭頚部、体幹、四肢、腋窩の膿瘍では、黄色ブドウ球菌とレンサ菌が主な原因菌で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の頻度も高くなってきています。会陰の膿瘍には、糞便中に存在する菌が含まれ、通常、それらの菌は嫌気性菌であるか、好気性菌と嫌気性菌が混在したものです。

【毛包炎、せつ(おでき)、ようとは?】

毛穴で起こった細菌感染による皮膚膿瘍は、大きさによって小さいものから「毛包炎」「せつ(おでき)」「せつ腫症」「よう」と定義されます。

《毛包炎とは?》

毛包炎は、毛包に生じる皮膚膿瘍の一種です。毛の根元が小さな赤または白の吹き出物のようになります。原因の大半は黄色ブドウ球菌で、最近はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌も増えています。

《せつ(おでき)とは?》

せつ(おでき)とは、毛法とその周囲の組織に生じる比較的小さな皮膚表層に出来た膿瘍です。頸部、乳房、顔面、臀部に好発します。皮膚と下部構造が密着している鼻、耳、手指などに生じると不快になり、痛みが出ることもあります。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が頻度の高い原因菌です。

《ようとは?》

ようとは、皮膚の表面下で複数のせつが繋がって出来たものです。膿瘍から細菌が広がり、周囲の組織やリンパ節に感染が広がることもあります。また発熱および極度の疲労を伴うこともあります。

【治療】

小さな膿瘍の場合は、無治療でも消退します。痛みや腫脹が強い場合は、切開排膿の適応となります。また単純な膿瘍には、抗菌薬は使用しませんが、全身性感染の徴候、蜂窩織炎、多発膿瘍、易感染性、または海綿静脈洞に還流する領域の顔面膿瘍がみられる場合は、MRSAに有効な薬剤(トリメトプリム/スルファメトキサゾール、クリンダマイシン、バンコマイシン)による治療の適応となります。

〈ICD分類〉

皮膚膿瘍、せつ〈フルンケル〉及びよう〈カルブンケル〉⇒ L02.0-9

毛包炎 ⇒ I73.9

〈ICD9-CM〉

皮膚排膿切開術 ⇒ 86.04