心室中隔欠損症(VSD)

 
やまねこ
心室中隔欠損症は、欠損の部位によって分類されるニャ

【心室中隔欠損症(VSD)とは?】

心室中隔欠損症(VSD)とは、心臓の右側と左側を隔てる壁(中隔)のうち、左右二つの心室の間に欠損孔が生まれつき開いた状態のことをいいます。

最も多い先天性疾患で、男女ともに同じくらいの頻度で起こります。約30%が2歳までに自然閉鎖します。

本来交じり合うことのない右室と左室の血液が混じり、右心室、肺のみならず、左心室にも多くの血液が流れてしまうため、心臓、肺に適度の負担がかかる病気です。

原因は生まれつきのもので、遺伝的な照明はされておりません。

治療をしなかった場合、繰り返す肺の感染症や肺高血圧を引き起こし、多くの合併症と余命の短縮に繋がります。また大動脈弁の近くに欠損孔がみられる場合、影響を受けた大動脈弁から血液が漏れ始めることがあります。(大動脈弁逆流症)

【心室中隔欠損症(VSD)の分類】

心室中隔欠損症(VSD)は、欠損の位置により部位別に、(1)肺動脈弁直下型(2)漏斗部中央型(3)膜腰部中隔近傍型(4)心内膜床欠損型(5)筋性中隔型に分類されます。

・(1)と(2)の心室中隔欠損では、大動脈弁の逸脱とそれによる大動脈弁閉鎖およびバルサルバ洞動脈瘤を合併します。

・(3)は膜腰部とその周囲の筋性中隔にまたがる欠損孔です。

・(4)は膜腰部から後方の流入部中隔の大きな欠損です。

・(5)は二本では少なく、多発性に生じることが多い欠損となります。

また「膜性周囲部欠損」「筋性部欠損」「大血管下漏斗部欠損」の三つに分類されることもあります。(Anderson分類)

【治療法】

漏斗部の心室中隔欠損を除くと、ほとんどの場合、自然に閉鎖するために手術はしません。ただ乳児期に心不全が生じた場合は、強心薬と利尿薬で治療し、欠損孔が大きなときは、肺血管閉鎖病変が進行する間に手術をする必要があります。

また小児期以降では、感染性心内膜炎の既往がある場合や、大動脈弁の逸脱や閉鎖不全症(両大血管下漏斗部欠損にみらえる)がある場合は、欠損孔の縮小傾向がない限り、手術の適応となります。

《心室中隔欠損閉鎖術》

人工心肺装置を用いて心臓を一度停止します。欠損孔の大きさに合わせたパッチを用いて縫合して、欠損孔を閉鎖します。「パッチ」は自己心膜(自分の心臓を包んでいる膜)が使われる場合や、ゴアテックス(人工の素材)が使われる場合があります。

〈ICD分類〉

心室中隔欠損症 ⇒ Q21.0

〈ICD9-CM〉

人工物(ゴアテックスなどのパッチ)を用いる心室中隔欠損の修復 ⇒ 35.53

心室中隔パッチ(人工物)閉鎖術 ⇒ 35.53

パッチ(自己心膜などの組織)を用いる心室中隔欠損の修復 ⇒ 35.62

心室中隔パッチ(自己心膜などの組織)閉鎖術 ⇒ 35.62

詳細不明の心室中隔欠損の修復 ⇒ 35.72