尖圭コンジローマ

 
やまねこ
尖圭コンジローマはまれにがん化するものもあるから注意だニャ

【尖圭コンジローマとは?】

尖圭コンジローマ(尖圭コンジローム)とは、性感染症の一種です。性行為によって外陰部などにヒトパピローマウイルス(HPV)6型や11型、まれに皮膚型のHPVが感染することによって引き起こされます。20歳代の若年層の男女に多い性感染症の一つです。

尖圭コンジローマの診断がついた人との性行為により、そのパートナーに3人に2人の割合でHPVを感染させてしまうと言われています。症状がわかりにくいことから、いつ感染したのかわからないことが多いです。

ちなみにHPV6型、11型に感染しても尖圭コンジローマになる人の割合は3%程度と言われていて、ほとんどの人はHPVに感染しても自己の免疫力で排除されます。

HPVは皮膚や粘膜の微小な傷から体内へ侵入するとされており、特にアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など元々皮膚にトラブルが起こりやすい人が発症しやすいです。またオーラルセックスによって喉に感染が生じて発症することに少なくありません。

※「コンジローマ」はラテン語で「皮膚に出来るイボに似た、成長して大きくなる病変」という意味で、先が尖っていると尖圭コンジローマといい、形が平らであれば扁平コンジローマといいます。ちなみに「尖圭コンジローマ」と「扁平コンジローマ」は全くの別物です。「扁平コンジローマ」は梅毒の第二期にみられる皮疹の一つ(丘疹性梅毒疹)です。

【症状】

発症すると、外陰部を中心に鶏のトサカのような淡紅色~褐色のイボが形成されます。中には悪性化(がん化)するものもあるため、適切な治療と経過観察が必要です。

好発部位は、女性の場合は多くは膣の入口や肛門付近に出来ますが、膣や肛門の内部にも症状が現れることがあります。男性の場合は、主に亀頭の先端部や冠状溝(カリ)といわれるあたりが多く、次に包皮の内側や外側、陰嚢、陰嚢と肛門の間、尿道口、肛門のまわりや肛門内になります。

【治療法】

現在のところ原因となるヒトパピローマウイルスを体内から排除する治療法はなく、電気メスでイボを焼き切る治療や抗がん剤の成分が含まれた軟膏を塗る治療などが行われます。ただし、これらの治療を行っても体内のウイルスを完全に除去することが出来ず、再発を繰り返しやすいのがこの病気の特徴です。

《塗り薬》

2007年にベセルナクリーム5%(イミキモドクリーム)が発売されて以来、尖圭コンジローマの第一選択治療薬となっています。この塗り薬は、感染した細胞にダメージを与え、ウイルスの増殖を抑制・消滅させる働きがあります。この治療で効果が見られない場合には、抗がん剤の一種である5-フルオロウラシルやプレオマイシンが含まれた軟膏を塗って経過を見ていくことも少なくありません。

《焼灼・切除による外科的治療法》

冷凍凝固法:-196℃の液体窒素で尖圭コンジローマを凍らせて小さくする方法です。

レーザーや電気メスによる切除法:局所麻酔後に炭酸ガスレーザーや電気メスによって焼き切ります。

外科的切除法:局所麻酔によってコンジローマを根元から浮き上がらせて切除します。

〈ICD分類〉

尖圭コンジローマ ⇒ A63.0

〈ICD9-CM〉

肛門尖圭コンジローム切除術 ⇒ 49.39

陰嚢病巣または組織の切除または破壊術 ⇒ 61.3

陰茎尖圭コンジローム切除術 ⇒ 64.2

焼灼による子宮頸部病変破壊術 ⇒ 67.32

凍結手術による子宮頸部の病変破壊術 ⇒ 67.33

そのほかの子宮頸部の病変または組織の切除術または破壊術 ⇒ 67.39

膣壁コンジローム切除術 ⇒ 70.33

外陰および会陰のそのほかの局所切除術または破壊術 ⇒ 71.3