【嚢胞性腎疾患とは?】
嚢胞性腎疾患とは、腎臓に嚢胞が出来た状態を言います。先天性と後天性、先天性か後天性か不明のものに分類されます。
【嚢胞性腎疾患の分類】
≪先天性嚢胞≫
・常染色性優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
・常染色性劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)
・多嚢胞腎
・髄質海綿腎
・結節性硬化に伴う嚢胞
≪後天性嚢胞≫
・後天性腎嚢胞
・各種病変に伴う二次性嚢胞(腎細胞がん、ウイルムス腫瘍などに伴う嚢胞)
≪先天性か後天性か不明の腎嚢胞≫
・単純性腎嚢胞
・傍腎盂嚢胞
・多房性腎嚢胞
【主な嚢胞性腎疾患の説明】
[先天性]
≪常染色体優性多嚢胞腎≫
親の片方が異常な遺伝子(遺伝子PKD1、遺伝子PKD2)を持っていれば、性別に関わらず子どもに50%の確率で病気の遺伝子が遺伝します。これを常染色体優位遺伝といい、これにより両方の腎臓に大きな嚢胞や小さな嚢胞が多数できます。成人になってから発見されることが多く、60歳までに約50%が末期腎不全に至ります。肝臓、膵臓、脾臓などに嚢胞が合併することがあり、脳動脈瘤の合併も多いです。
≪常染色体劣性多嚢胞腎≫
性染色体以外の常染色体劣性遺伝により、両方の腎臓に小さな嚢胞が多数できる病気です。1万人に1人の頻度で発生し、多くは乳幼児期までに末期腎不全に陥ります。
≪多嚢胞性異形成腎≫
正常な腎臓の組織が作られず、ブドウの房状に多数の嚢胞が出来る病気です。一方の腎だけに出来ることが多く、その腎の機能はありません。
≪髄質海綿腎≫
腎臓の中の集合管と呼ばれる部分が嚢胞上に拡がる先天性の病気です。多くは両方の腎臓に発生します。成人で見つかることが多いのですが、小児でも起こることがあります。
[後天性]
≪後天性嚢胞腎≫
両側性の腎嚢胞で透析療法を受けている40%以上の患者に認められます。両側の腎の皮質及び髄質に多発性の小さな嚢胞が形成され、腎全体にまで広がります。
[先天性か後天性か不明の腎嚢胞]
《単純性腎嚢胞≫
一般に一つの腎臓の皮質に大きさが0.5~4㎝の嚢胞が認められます。原因は不明です。無症状なので治療は不要です。
〈ICD分類〉
≪先天性嚢胞≫
先天性単一嚢胞腎 ⇒ Q61.0
常染色性優性多発性嚢胞腎(ADPKD)⇒ Q61.2
常染色性劣勢多発性嚢胞腎(ARPKD)⇒ Q61.1
多嚢胞腎(病型不明)⇒ Q61.3
多嚢胞性異形成腎 ⇒ Q61.4
髄質海綿腎 ⇒ Q61.5
≪後天性腎嚢胞≫
後天性腎嚢胞 ⇒ N28.1
≪先天性か後天性か不明の腎嚢胞≫
単純性腎嚢胞 ⇒ N28.1
傍腎盂嚢胞 ⇒ N28.1
多房性腎嚢胞 ⇒ Q61.3