【食道動脈瘤とは?】
食道動脈瘤は、主に肝硬変が原因となって起こる門脈圧亢進症によって、本来食道動脈瘤へ流れるはずのない血液が食道静脈へと流れ込み、静脈が拡張することによって出来る瘤のことをいいます。無症状ですが、放置すると破裂や出血を引き起こすことがあります。
【食道静脈瘤の原因、門脈圧亢進症とは?】
肝臓には、肝動脈・肝静脈・門脈の三つの血管がありますが、その中で門脈だけが肝臓にのみにある血管で、腸などの消化管から栄養が送られてきてそれを肝臓に蓄える役割をしています。
肝硬変になると、肝臓が小さく硬くなってしまうことから、その門脈から肝臓へ流れる血液がちゃんと流れなくなり、門脈自体の圧力が高くなってしまい、門脈圧亢進症を引き起こします。その結果、行き場を失った血液が食道の静脈に流れ込み、細い食道静脈がデコボコした瘤状になってしまいます。これが食道静脈瘤です。
原因不明で門脈全体の圧力が高くなることを特発性門脈圧亢進症といいます。
食道静脈瘤の9割は、門脈圧亢進症もしくは特発性門脈圧亢進症が原因で発症するといわれています。
【肝硬変以外の門脈圧亢進症の原因】
肝硬変以外に門脈圧亢進症を引き起こす疾患としては、頻度は少ないのですが膵臓がんや慢性膵炎などの膵臓疾患などの膵臓疾患やバット・キアリ症候群などがあげられます。
膵臓疾患で食道静脈瘤が起こる割合は約1割といわれています。
【食道静脈瘤の治療法】
食道静脈瘤の治療は、内視鏡的治療が一般的です。硬化療法(EIS)と結紮術(EVL)があります。
硬化療法(EIS):内視鏡下で疾患部分を確認しながら、注射針を用いて穿刺をし、そこから硬化剤を注入して血栓化させることで静脈瘤を固める方法です。
結紮術(EVL):静脈瘤を吸引しながら根部をO-リングという輪ゴムで縛り、血流を途絶えさせる方法です。緊急時の止血術にも多用されます。比較的簡単に出来ますが、再発が多いことが欠点です。
〈ICD分類〉
肝障害による出血を伴わない食道静脈瘤 ⇒ K70-K71†、K74.-† I98.2*
肝障害による出血を伴う食道静脈瘤 ⇒ K70-K71†、K74.-† I98.3*
出血を伴う食道静脈瘤 ⇒ I85.0
出血を伴わない食道静脈瘤 ⇒ I85.9
門脈亢進症 ⇒ K76.6
〈ICD9-CM〉
食道静脈瘤硬化療法(EIS)⇒ 42.33
食道静脈瘤結紮術(EVL)⇒ 42.33