B型ウイルス肝炎

 
やまねこ
病原体を構成するタンパク成分(抗原)を調べることで、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかがわかるニャ

【B型ウイルス肝炎

成人では多くの場合、B型肝炎ウイルスのキャリア(保有者)との性行為を介して感染します。感染しても無症状のことが多く、時には急性肝炎の症状を起こすこともありますが、大抵は無事に治ります。

ただ稀に劇症肝炎を起こしたり、慢性肝炎に移行することがあります。

【一過性感染と持続感染】

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染様式は「一過性感染」「持続感染」の二つに大別されます。

《一過性感染》

一過性感染では、症状が治まった後はウイルスが体から排除されており、HBVに対する免疫を獲得します。その後再びHBVに感染することはありません

《持続感染》

持続感染とは、感染したHBVが体から排除されずに六カ月以上に渡って肝臓の中にすみつく型で、一部の方は慢性肝炎を発症します。

慢性肝炎とは、通常六カ月以上肝炎が続いている状態を指します。慢性肝炎の多くは、出産時や幼児期に感染した無症候キャリアからの発症です。

【感染の有無】

病原体に感染しているかどうかは、病原体を構成するタンパク成分(抗原)を調べて確かめます。一般にB型肝炎ウイルスについては、その房面を構成するsというタンパク成分(HBs抗原)を調べます。これが陽性なら、その人はB型肝炎ウイルスのキャリアです。精密検査では、ウイルスの内部にあるeというタンパク成分(HBe抗原)を調べることもあります。

HBs抗原:陰性 ⇒ 今までB型肝炎ウイルスに感染したことはありません。

HBs抗体:陰性 ⇒ 今までB型肝炎ウイルスに感染したことはありません。

HBs抗原:陽性 ⇒ B型肝炎ウイルスのキャリアです。

HBs抗体:陽性 ⇒ 過去にB型肝炎にかかったことがあります。

HBe抗原:陽性 ⇒ 感染力の強いB型肝炎ウイルスに感染しています。

HBe抗体:陽性 ⇒ B型感染ウイルスの量が少なく、感染力も低く、肝炎も非活動性であることを示しています。

【慢性B型肝炎の診断】

慢性B型肝炎の診断は、ウイルス検査が陽性で、肝機能の異常を示すALT値の変動が六カ月以上続くと診断されます。基準値 ALT 30以上)

【慢性B型肝硬変の診断】

HBV-DNAが陽性の人

〈ICD分類〉

急性B型肝炎 ⇒ B16.0-9

慢性ウイルス性肝炎 ⇒ B18.0-1

※デルタ因子とは:D型肝炎ともいいます。D型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルスに重複感染した時に発症する肝炎です。増殖するにはB型肝炎ウイルスの感染常態であることが必須で、B型肝炎の症状悪化の因子の一つです。

B型肝硬変 ⇒ B18.2† K74.6*

ウイルス性肝炎のキャリア(B型肝炎表面抗原[HBsAg]のキャリア<病原体保有者>) ⇒ Z22.5

B型肝炎ウイルスの既往 ⇒ Z86.1