植皮術

 
やまねこ
植皮術は病態に応じて使い分けられるニャ

【植皮術とは?】

外傷や熱傷などにより、皮膚欠損や深達性のあるものは、治療として植皮術が選択されることがあります。植皮術とは、ドナー部位、またはドナーの皮膚を採皮し、患部に貼付縫合する皮膚移植術のことをいいます。

【植皮術の分類】

植皮術は、「遊離植皮」「有茎植皮」の二つに大別され、病態に応じて使い分けられます。「遊離植皮」とは、皮膚をいったん皮下組織から切り離して他に移植することであり、一方で「有茎植皮」は、その一部(茎)が皮下組織から離れずにここを通して血液の供給を受けるものです。

また「遊離植皮」は植皮片の厚さにより、「分層植皮」「全層植皮」に分類されます。一方で「有茎植皮」は、「局所皮弁」「遠隔皮弁」「遊離皮弁」などに分類されます。

《遊離植皮術》

血行を途絶した皮膚を移植する方法で、移植する皮膚の厚さにより「分層植皮」と「全層植皮」の二つに大きく分類されます。皮膚移植された部分は、36時間以内に新しい血管が出来始めます。

分層植皮(STSG)真皮の厚さで、薄目分層植皮(0.15-0.2mm)、中間分層植皮(0.3-0.4mm)、厚目分層植皮(0.6-0.7mm)の三つに分類されます。薄く採るほど生着もよく採皮部の上皮化も速いのですが、移植部位は拘縮・色素沈着を起こしやすく、採皮部には面状の痕が残ります。

全層植皮表皮と真皮をすべて移植する植皮術です。採皮創は縫縮するか分層植皮を行って閉鎖します。移植した皮膚の性質は、時間が経過しても移植部位周囲の皮膚の性質には近づきません。

《有茎植皮術》

血行を保って皮膚を移植する方法です。本来は皮膚弁を意味し、皮弁とも呼ばれます。皮膚に加えて厚みのある皮下組織を含めて移植するため、遊離植皮術の平面的修復に対して、立体的な再建(鼻・眼瞼・頬部・乳房・臀部)に用いられます。また骨や腱の露出部の被覆にも用いられます。

局所皮弁移植部の近傍に作成した皮弁を生体との付着を保ったまま移動させる方法。

遠隔皮弁移植部位から離れた部位に作成した皮弁を用いるもので、このうち血管柄付でいったん生体から切り離し、のちにマイクロサージャリー手技を用いて動静脈吻合を行うものを遊離皮弁といいます。

〈ICD9-CM〉

遊離植皮術 ⇒ 86.60-9

有茎皮弁または皮弁移植術 ⇒ 86.70-5