本来は柔らかいはずの軟産道が何らかの理由で硬くなってしまい、胎児が移動を妨げている場合を軟産道強靭というニャ
【軟産道強靭】
産道には骨産道(骨盤など骨で構成されている部分)と軟産道(筋肉や膣など軟らかい組織で構成されている部分)の2種類があります。骨産道はほとんど形が変わらないのに比べ、軟産道は広がりやすいという特徴があります。軟産道強靭とは、この軟産道が非常に硬く、胎児の移動を妨げている状態のことをいいます。
【原因】
器質的(物理的)原因と機能的(非物理的)原因に分けられます。
《器質的原因》
子宮筋腫や子宮頸部の瘢痕などによって胎児が子宮から出てくることが妨げられることがあります。子宮頸部の瘢痕は、初期の子宮頸がんなどに対して行われる子宮頸部円錐切除術の影響によって、切除部分が治る過程で硬くなってしまうために起こります。
《機能的原因》
子宮頸部や膣が分娩中に軟らかくならず、なかなか分娩が進まない場合に診断されます。高齢での初回分娩時などに起こります。
【治療】
子宮筋腫などによって分娩が進まない場合は、帝王切開術が必要となります。
子宮頸部が硬く分娩が進まない場合には、人工的に子宮頸部を広げる処置を行います。
陣痛がきて分娩が始まったにもかかわらずなかなか進まず、膣の軟産道強靭と考えられた場合は子宮収縮促進剤を投与することもあります。
〈ICD分類〉
軟産道強靭 ⇒ O34.4