肺炎

 
やまねこ
肺炎は分類を試みるだけで一苦労だニャ

【肺炎の分類】

《原因となる病原微生物による肺炎の種類》

細菌性肺炎肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ糖などの細菌が原因。その中でも肺炎球菌は最も多い。

ウイルス性肺炎インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど様々なウイルスが原因。

非定型肺炎マイコプラズマ、クラミジアなど、細菌とウイルスの中間的な性質を持つ微生物が原因。

※1 グラム染色に反応しない細菌(マイコプラズマ、クラミジア)の感染で起こる肺炎を非定型肺炎といい、逆に反応する細菌の感染で起こる肺炎を定型肺炎という。

《感染場所による肺炎の分類》

市中肺炎日常生活を送っているうちに感染した場合

院内感染病院や施設などに入院してから、48時間以上経過した後に発症した場合

《感染した組織による肺炎の分類》

肺胞性肺炎肺の末端にある「肺胞」が炎症を起こした場合

間質性肺炎「肺胞」を支える組織である「間質」が炎症を起こした場合

【間質性肺炎とは?】

間質性肺炎は肺の「間質」で起こる炎症を指します。広い意味で「間質」とは、肺胞や気道(空気の通り道)以外の肺の組織全体を指します。つまり間質性肺炎は、一つの特定の病気を指すものではなく、肺で起きる様々な炎症疾患を幅広く指すものです。間質性肺炎は、その原因や病気の性質によって何十種類に細かく分類されていますが、多くは間質に炎症を起こすことで、肺胞と毛細血管の間の壁(肺胞壁)が厚く硬くなり、ガス交換が出来にくくなってしまいます。また原因が放射線、粉塵、薬物、膠原病、サルコイドーシスなど明らかなものと、原因不明な特発性間質性肺炎に大別されます。

【間質性肺炎の分類】

ⅰ)異物の吸入によるもの

ⅱ)自己免疫性:関節リウマチ、多発筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、強皮症、血管炎などの自己免疫疾患、肺サルコイドーシス、IgG関連疾患など

ⅲ)医原性

ⅳ)感染症:マイコプラズマ、サイトメガロウイルスなど

ⅴ)そのほか:特発性肺炎(特定の原因が断定できないもの)、肺サルコイドーシス

【特発性間質性肺炎の分類】

《慢性線維化性間質性肺炎》

ⅰ)特発性肺線維症(IPF)

ⅱ)特発性非特異性間質性肺炎(NSIP)

《喫煙関連間質性肺炎》

ⅰ)呼吸細気管支炎関連間質性肺炎(RB-ILD)

ⅱ)剥離性間質性肺炎(DIP)

《急性・亜急性間質性肺炎》

ⅰ)特発性器質化肺炎(COP)

ⅱ)急性間質性肺炎(AIP)

〈ICD分類〉

肺炎を伴うインフルエンザうイリス感染 ⇒ J10.0/J11.0

ウイルス性肺炎 ⇒ J12.0-9

肺連鎖球菌による肺炎 ⇒ J13

インフルエンザ菌による肺炎 ⇒ J14

細菌性肺炎 ⇒ J15.0-9

クラミジア肺炎 ⇒ J16.0

その他の明示された感染病原体による肺炎 ⇒ J16.8

サイトメガロウイルスによる肺炎 ⇒ B25.0† J17.1*

麻疹による肺炎 ⇒ B05.2† J17.1*

風疹による肺炎 ⇒ B06.8† J17.1*

水痘による肺炎 ⇒ B01.2† J17.1*

アスペルギルス症による肺炎 ⇒ B44.0-1† J17.2*

カンジダ症による肺炎 ⇒ B37.1† J17.2*

コクシジオイデス症による肺炎 ⇒ B38.0-2† J17.2*

ヒストプラズマ症による肺炎 ⇒ B39.0-9† J17.2*

回虫症による肺炎 ⇒ B77.8† J17.3*

住血吸虫症による肺炎 ⇒ B65.0-9† J17.3*

トキソプラズマ症による肺炎 ⇒ B58.3† J17.3*

オルニトージス<鳥類病>による肺炎 ⇒ A70† J17.8*

Q熱による肺炎 ⇒ A78† J17.3*

リウマチ熱による肺炎 ⇒ I00† J17.8*

スピロヘータ性、他に分類されないものによる肺炎 ⇒ A69.8† J17.8*

気管支肺炎 ⇒ J18.0

非定型肺炎NOS ⇒ J18.9

肺炎NOS ⇒ J18.9

特発性肺線維症(特発性間質性肺炎の臨床分類の一病型)⇒ J84.1

間質性肺炎(線維化したもの)⇒ J84.1

※そもそも日本では間質性肺炎と肺線維症はほぼ同義語として使われていましたが、現在では肺線維症の名称は、特発性肺線維症そのものを指しています。

通常型間質性肺炎(UIP:特発性間質性肺炎の臨床分類の一病型)⇒ J84.1

リンパ球性間質性肺炎(LIP:特発性間質性肺炎の臨床分類上の一病型)⇒ J84.1

気腫合併入腺腫(CPFE)⇒ J84.1

※器質化肺炎とは、間質性肺炎に症状がよく似ていますが、肺胞腔の炎症が起き、肺胞腔の線維化や一部や肺胞間質への炎症細胞が浸潤する点で異なっています。原因としては、薬剤、膠原病、血管炎、放射線肺臓炎、悪性病変、感染症などが関連しているようですが、原因がわからないものは特発性器質化肺炎と判断されます。

急性間質性肺炎(AIP:特発性間質性肺炎の臨床分類上の一病型=びまん性肺胞生障害DAD)⇒ J84.9

特発性間質性肺炎NOS ⇒ J84.9

間質性肺炎NOS ⇒ J84.9

※「間質性肺炎」には、大きく分けて二種類あり、「炎症が起こる原因が明確である間質性肺炎」と「原因が不明な間質性肺炎」があります。間質に炎症が起こる病気をまとめて「間質性肺疾患」と呼んでいますが、単に「間質性肺炎」と呼ぶときは、「特発性間質性肺炎」を指し示すことが一般的です。