異所性妊娠(子宮外妊娠)

 
やまねこ
異所性妊娠で最も多いのは、卵管妊娠だニャ

【異所性妊娠とは?】

異所性妊娠とは、正常妊娠とは異なり、受精卵が子宮内膜以外に着床し、胎芽・胎児の発育が進んでしまうことをいいます。最も多いのは卵管に着床するケースです(卵管妊娠)。

異所性妊娠は、全妊娠数の1%程度で発症するといわれています。早期の発見が不可欠で、手術が必要となることも少なくありません。

ちなみに異所性妊娠は、子宮外妊娠と呼ばれることもあります。ただ子宮の頸管で起こる頸管妊娠のケースもあるため、この呼称は適切ではありません。

【原因】

一般的に、卵巣から排卵された卵子は、卵巣と子宮をつなぐ卵管にある卵管膨大部にて精子と出会って、受精します。そして受精が成立すると受精卵となり、一週間ほどをかけて子宮に向かって卵管を移動しながら細胞分裂を繰り返し、子宮内膜に着床します。しかし、卵管の癒着・狭窄など、卵管付近に何らかの炎症が起こっている場合は、卵管の通りが悪く、正常に受精卵が子宮に運ばれずに、卵管などに着床して異所性妊娠が発症してしまいます。

異所性妊娠の危険因子には以下のものがあります。

・卵管の病気

・骨盤愛炎症性疾患の既往

・中絶や卵管結紮術(不妊手術の一種)などの手術歴

・IUD(子宮内避妊器具)を現在使用している。

・喫煙

・複数のセックスパートナー

・クラミジア感染症

・異所性妊娠の経験

・体外受精や胚移植を受けている。

・子宮内膜症

・高齢妊娠

【治療】

異所性妊娠による胎児は、数週間生存することがあります。しかし子宮以外の組織では必要な血液を供給したり胎児を支えたりすることが出来ないため、最終的に胎児は生存できません。多くの場合、胎児を含む構造は6~16週間後に破裂します。異所性妊娠による破裂が起こると、出血がひどく生命が脅かされることがあります。したがって、出来るだけ早く妊娠を終了させる必要があります。

治療は原則手術です。現在は腹腔鏡下手術が行われることが多くなってきました。卵管妊娠の場合は、卵管切除術を選択することが一般的です。また卵管を切除しない、卵管温存手術も考慮されるようになってきました。

また異所性妊娠が小さく、破裂していない場合、手術の代わりに1回または複数回のメトトレキサート(抗がん剤)の注射が行われることがあります。この薬剤によって異所性妊娠の組織は縮小して消失しますが、メトトレキサートに手術を併用しなければならない場合もあります。

〈ICD分類〉

腹腔〈腹膜〉妊娠 ⇒ O00.0

卵管妊娠 ⇒ O00.1

卵巣妊娠 ⇒ O00.2

その他の子宮外妊娠(異所性妊娠)(頸管、副角、子宮広間膜内、壁〈子宮筋層〉内 ⇒ O00.8

子宮外妊娠(異所性妊娠)NOS ⇒ O00.9

〈ICD9-CM〉

卵管妊娠の除去に伴う卵管切除術(子宮外妊娠術)⇒ 66.61