【肥厚性瘢痕とは?】
皮膚に傷が出来ると、時間の経過とともに傷が強度にくっつくようになります。その過程において、傷口では炎症反応が生じており、一時的に皮膚が赤くなります。通常は徐々にその赤みが引き、色素沈着を経て目立たない傷になりますが、しかし傷口の赤みを残存して盛り上がることがあります。これを肥厚性瘢痕といいます。肥厚性瘢痕では、皮膚の表面(表皮)だけでなく、その下の真皮にまで炎症が起きています。
原因としては、ケガを生じた後の細菌感染の合併や、火傷やケガなどによって、皮膚の奥深くにまで傷が入ってしまったことなどが考えられます。
【ケロイドとは?】
ケロイドとは、にきびや、火傷、ケガなどにより生じた傷口がくっつく際に、その傷口部分が赤く見え、膠原繊維(コラーゲン)が出来て盛り上がった状態のことをいいます。表皮と皮下脂肪の間にある真皮と呼ばれる部分に炎症が生じています。ケロイドによって起こる皮膚の変化は、傷の部分にとどまらずその部分を超えています。似たような症状でありながらも、傷の部分だけに炎症がとどまる肥厚性瘢痕との違いはここにあります。なお、ケロイドの好発部位として知られているのは、胸、肩、耳たぶ(ピアス後)、下腹有毛部(帝王切開後)などです。逆に顔、顔、手足、下腿などでは、ケロイドの発症頻度は低いとされています。
【瘢痕拘縮とは?】
瘢痕拘縮とは、肥厚性瘢痕やケロイドが関節部や首など皮膚が引っ張られる場所に出来た場合に、治療せずに放っておいた、もしくは効果がない治療を続けた結果、引きつれが出来てしまった状態のことをいいます。病理学的には、肥厚性瘢痕と同じようなものであり、炎症が長く続いた結果、硬い線維蓄積したものとなります。好発部位は、指の関節、肘が手首、膝や足首、首、腋窩などになります。
【治療法】
保存療法と外科的治療があります。
《保存療法》
外用療法:ステロイド剤テープ、ステロイド剤軟膏、保湿剤
局所注射療法:ステロイド剤注射
内服療法:抗アレルギー剤
圧迫療法:テープ固定やシリコンシート
レーザー治療
放射線治療
《外科的治療》
病変切除を伴う皮膚Z形成術
皮膚Z形成術
植皮術
〈ICD分類〉
肥厚性瘢痕 ⇒ L91.0
ケロイド ⇒ L91.0
瘢痕拘縮 ⇒ L90.5
〈ICD9-CM〉
病変切除を伴う皮膚Z形成術 ⇒ 86.3
遊離植皮術 ⇒ 86.60-9
有茎皮弁または皮弁移植術 ⇒ 86.70-5
皮膚Z形成術 ⇒ 86.84
瘢痕拘縮形成術 ⇒ 86.84