【大動脈縮窄症とは?】
大動脈縮窄症とは、大動脈峡部と下行大動脈の移行部、すなわち大動脈への動脈管接合部に生じる狭窄のことをいいます。成人期まで無症状のこともありますが、狭窄が高度である場合は、乳児期から心不全を患います。また心室中隔欠損を合併している場合は、大動脈縮窄複合と呼ばれます。動脈管の収縮組織が大動脈内に迷入して存在し、大動脈峡部全体が低形成になることが病因とされています。
《分類》
単純型大動脈縮窄症:心臓内の疾患を伴わない。
大動脈縮窄複合症:心臓内の疾患を伴い、乳幼児時期から症状をきたしやすい。
【症状と経過】
単純型大動脈縮窄症と大動脈縮窄複合症では症状や経過は異なります。
単純型大動脈縮窄症:小児期を無症状で過ごすことが多いです。高血圧を指摘されて、病期が判明することがあります。
大動脈縮窄複合症:先天性心疾患(心室中隔欠損が最も多い)を伴うので、単純型よりもより重症です。動脈管が閉鎖するとショック状態となり、新生児から高度の心不全になります。
【治療】
《単純型大動脈縮窄症》
狭窄に前後の血圧の差が30mmHg以上ある場合に治療が必要となります。狭窄部切除端々吻合、パッチ拡大術などが行われています。
《大動脈縮窄複合症》
内科治療:抗心不全療法およびプロスタグランジン製剤持続点滴による動脈管開存療法
第一期外科手術:狭窄部切除端々吻合、肺動脈絞扼術
第二期外科手術:人工心肺を用いた心内修復術(心室中隔欠損閉鎖および肺動脈絞扼解除)
〈ICD分類〉
単純型大動脈縮窄症 ⇒ Q25.1
大動脈縮窄複合症 ⇒ Q25.1
大動脈縮窄症NOS ⇒ Q25.1
〈ICD9-CM〉
狭窄部切除端々吻合術 ⇒ 38.35
肺動脈絞扼術 ⇒ 38.85
心室中隔欠損閉鎖術(肺動脈絞扼術後肺動脈形成を伴う)⇒ 35.72