前立腺肥大症

 
やまねこ
前立腺肥大症から前立腺がんに移行するわけではないニャ

【前立腺とは?】

前立腺は、直腸と恥骨の間にあり、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいます。男性にしかない生殖器の一つで、精子の栄養源となる精液の約三分の一を占めている。前立腺液を分泌する働きがあります。前立腺液は、精子を保護し、栄養を与える役割を果たしています。

【前立腺肥大症とは?】

前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することによって尿道が圧迫され、排尿障害を引き起こす病気です。50歳頃から加齢とともに増加し、50代の男性では、20~30%、80歳以上になると、80~90%が前立腺肥大症になるといわれています。

【原因】

前立腺が肥大する原因は完全にはわかっていませんが、男性ホルモンなどの性ホルモン環境の変化が関与すると言われています。加齢による老化現象が発症の明らかな危険因子になりますが、その他に遺伝的要因、食生活、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などもあげられます。

【合併症】

前立腺肥大症が進行すると、頻尿、過活動膀胱、血尿、尿路感染、尿閉、膀胱結石、腎機能障害、溢流性尿失禁などの合併症を引き起こすことがあります。

【前立腺肥大症と前立腺がんの関係】

前立腺は、尿道の周囲にある内腺とその周りにある外腺に区別されます。前立腺肥大症は、内腺に発生し、前立腺がんは外腺に発生します。前立腺肥大症が前立腺がんに移行すると勘違いしている人が多くいますが、この二つの病気に因果関係はありません。ただしこの二つの病気は症状が似ているので、どちらであるかを早急に見極めるために(両者は治療する薬物も手術法も全く異なるので)、血液検査(PSA検査)をして区別する必要があります。

【治療法】

前立腺肥大症は、軽症から中等症になった場合に薬物療法を行います。使われるのは、前立腺や尿道の筋肉の緊張を和らげて尿を出しやすくする「a1遮断薬」や肥大した前立腺を徐々に小さくする作用がある「5a還元酵素阻害薬」などです。薬物療法を行っても改善しない場合は、手術を行います。標準的な手術方法は「経尿道的前立腺切除術(TUR-P)」ですが、最近では「レーザー前立腺核出術(HoLEP)」を行う病院も増えています。

〈ICD分類〉

前立腺肥大症 ⇒ N40

〈ICD9-CM〉

レーザー前立腺核出術(HoLEP)⇒ 60.21

経尿道的前立腺切除術(TUR-P)⇒ 60.29