胃食道逆流症(GERD)と逆流性食道炎

 
やまねこ
胃食道逆流症(GERD)のうちで、炎症(びらん、潰瘍、粘膜障害)があるものが逆流性食道炎になるニャ

【食道炎とは】

食道炎とは、食道の粘膜が炎症を起こし、肉眼的にびらんや潰瘍が見られるものをいいます。びらんは粘膜表面以内に欠損が留まっている状態をいい、潰瘍は粘膜の欠損がさらに下層に進んで、陥没した状態のことをいいます。

【食道炎の種類】

食道炎で最も多いのは逆流性食道炎です。ほかにカビの一種による食道カンジダ症、ウイルスによるヘルペス食道炎サイトメガロウイルス食道炎、また内服した医薬品が食道に長く留まることによって起こる薬剤性食道炎、刺激性の薬剤を誤飲してしまうことによる腐食性食道炎などがあります。

【逆流性食道炎の原因】

逆流性食道炎は、胃液の逆流を防ぐ下部食道括約筋の働きが弱くなったせいで、胃酸、胆汁、膵液が食道に逆流してしまう(胃食道逆流症)ことが原因になります。

【胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症(NERD)の違い】

胃酸を多く含む胃の内容物が食道内に逆流して起こる病態を胃食道逆流症(GERD)といいます。胃食道逆流症は、食道の粘膜に目に見える炎症(びらんや潰瘍、粘膜障害)がある場合は、逆流性食道炎、そうした炎症がない場合は非びらん性胃食道逆流症(NERD)と二つに分けることが出来ます。

つまり胸焼けなどの症状があり、内視鏡検査で食道粘膜にびらんや潰瘍など炎症がある場合が逆流性食道炎で、胸焼けなどの症状があるにもかかわらず、そうした炎症がみられない場合が非びらん性胃食道逆流症(NERD)と分類されます。

【逆流性食道炎の分類】

グレードN:内視鏡的に変化を認めないもの

グレードM:色調が変化しているもの

グレードA:直径が5mmを越えない粘膜障害で粘膜ひだに限局されるもの

グレードB:少なくとも1カ所の粘膜障害が5mm以上あり、それぞれ別の粘膜ひだ上に存在する粘膜障害が互いに連続していないもの

グレードC:少なくとも1カ所の粘膜障害が2条以上のひだに連続して広がっているが、全周性でないもの

グレードD:全周性の粘膜障害

〈ICD分類〉

食道炎 ⇒ K20

感染性食道炎 ⇒ K20

腐食性食道炎 ⇒ K20

逆流性食道炎 ⇒ K21.0

胃食道逆流症(GERD) ⇒ K21.9

非びらん性胃食道逆流症(NERD) ⇒ K21.9

食道潰瘍 ⇒ K22.1

食道カンジダ症 ⇒ B37.8