胆道がん(胆のうがん・胆管がん)

 
やまねこ
胆道がんは、胆道のどこにがんがあるかで、ステージ分類の仕方が違ってくるニャ

【胆道がん(胆のうがん・胆管がん)とは?】

肝臓で作った胆汁を十二指腸まで送る道のことを「胆道といい、そこに出来たがんが「胆道がん」です。

胆道には、「胆のう」「胆管」があり、胆道がんも胆のうがん」「胆管がん」の二つに分けられます。

また「胆管がん」は上流から順に、肝臓内の胆管に出来た「肝内胆管がん」、肝臓のすぐ外側の肝門と呼ばれる部分に出来た「肝門部領域胆管がん」、そしてその下に出来た「遠位胆管がん」(「上部胆管がん」「中部胆管がん」「下部胆管がん」)「十二指腸乳頭部がん」に分けられます。

【胆道がん(胆のうがん・胆管がん)の肉眼的分類】

胆道がん(胆のうがん・胆管がん)は、粘膜から見た隆起の高低によって肉眼的分類がされます。

胆のうがん乳頭型、結節型、平坦型、充満型、塊状型

胆管がん乳頭型、結節型、平坦型、さらに浸潤様式から膨張型と浸潤型に亜分類されます。また早期胆のうがん、早期胆管がんでは、ともに隆起型、表面型、陥凹型に分類されます。

Ⅰ:隆起型

Ⅱ:表面型(Ⅱa:表面隆起型、Ⅱb:表面平坦型、Ⅱc:表面陥凹型)

Ⅲ:陥凹型

【胆道がん(胆のうがん・胆管がん)の深達度での分類】

胆道は粘膜層線維筋層漿膜下層で構成されています。がんが粘膜の下にどこまで浸潤しているかを示したものが「深達度」です。

《深達度》

粘膜がん(m)早期がん

線維筋層がん(mp)早期がん

RAS※内に生じたがん(SS)進行がん

漿膜下層がん(SE、SC)進行がん

※RASとは、正常な上皮が筋層や漿膜下層に陥入している状態のことです。

【胆道がん(胆のうがん・胆管がん)の病理組織型分類】

胆道がん(胆のうがん・胆管がん)は多様な組織像を示します。主なものに腺がん扁平上皮がん小細胞がんがあります。

また転移には、リンパ節転移血行性転移腹膜転移などがあります。

【胆道がん(胆のうがん・胆管がん)のステージ分類】

《胆のうがんのステージ分類》

0期上皮内がん

Ⅰ期がんが胆のうの固有筋層までにとどまっている。

Ⅱ期がんが胆のうの漿膜下層または肝臓と接している結合組織に浸潤がある。

ⅢA期下記の(1)、(2)※いずれか、ないし両方を満たし、かつ領域リンパ節への転移がない。

※(1)がんが漿膜に浸潤している。(2)肝実質およびまたは、肝以外の一か所の周辺臓器(肝外胆管、胃、腸、膵臓、大網)に浸潤がある。

ⅢB期領域リンパ節に転移があるが、遠隔転移はなく、がんが直接浸潤している範囲は、ⅢAまでと同様。

ⅣA期下記の(1)、(2)※いずれか、ないし両方を満たし、遠隔転移がない。領域リンパ節の有無は問わない。

※(1)肝臓以外の周辺臓器(肝外胆管、胃、腸、膵臓、大網)に二か所以上の浸潤がある。(2)門脈の本幹または総肝動脈、固有肝動脈に浸潤がある。

ⅣB期がんの浸潤や領域リンパ節転移に関わらず、遠隔転移がある。

《肝内胆管がん(胆管細胞がん)のステージ分類》

Ⅰ期がんの数は一か所で、大きさは2㎝以下、なおかつ血管や漿膜への浸潤がない。

Ⅱ期がんの数が一か所で、大きさは2㎝以下、または血管や漿膜に浸潤がない、またはがんの数は二か所以上だが、大きさが2㎝以下であり、なおかつ血管や漿膜に浸潤がない。

Ⅲ期がんの数が一か所で、大きさが2㎝を超えており、血管や漿膜に浸潤がある、またはがんの数が二か所以上あり、大きさが2㎝を超えるが、血管や漿膜に浸潤はない。

ⅣA期がんの数が二か所以上あり、大きさは2㎝を超えて、血管や漿膜に浸潤がある。

ⅣB期腫瘍の数と大きさに関わらず、リンパ節転移もしくは遠隔転移がある。

《肝門部領域胆管がんのステージ分類》

0期上皮内がん

Ⅰ期がんが胆管の中にとどまっている。

Ⅱ期胆管壁を超えるが、他の臓器への浸潤はない。またさらに肝実質の浸潤がある。

ⅢA期がんのある胆管のそばの門脈または肝動脈に浸潤がある。

ⅢB期領域リンパ節に転移があるが、遠隔転移はなく、がんが浸潤している範囲は、ⅢA期までと同様。

ⅣA期領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がなく、両側肝内胆管の二次分枝まで浸潤している、または門脈の本幹や左右分枝に浸潤がある、または総肝動脈、固有肝動脈、左右肝動脈に浸潤がある、または片側肝内胆管二次分枝まで浸潤があり、対側の門脈や肝動脈に浸潤がある。

ⅣB期がんの浸潤および領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がある。

《遠位胆管がんのステージ分類》

0期上皮内がん

ⅠA期がんが胆管の中だけにとどまっている。

ⅠB期胆管壁を超えるが他の臓器への浸潤はない。

ⅡA期胆のう、肝臓、膵臓、十二指腸、他の周辺臓器に浸潤がある、または門脈本幹、上腸管膜静脈、下大静脈などの血管に浸潤がある。

ⅡB期領域リンパ節に転移があるが、遠隔転移がなく、がんが浸潤している範囲は、ⅡA期までと同様。

Ⅲ期領域リンパ節転移の有無に関わらず、総肝動脈、腹腔動脈、上腸管膜動脈に浸潤がある。

Ⅳ期がんの浸潤および領域リンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移がある。

《十二指腸乳頭部がんのステージ分類》

ステージ0Tis N0 M0

ステージⅠAT1 N0 M0

ステージⅠBT2 N0 M0

ステージⅡAT3 N0 M0

ステージⅡBT1、T2、T3 N1 M0

ステージⅢT4 AnyN M0

ステージⅣAnyT AnyN M1

《がんの大きさと浸潤》

TX:腫瘍評価不能

T0:腫瘍が明らかではない。

Tis:上皮内がん

T1a:乳頭部粘膜内にとどまる。

T1b:オッディ括約筋に達する。

T2:十二指腸浸潤

T3a:5mm以内の膵実質浸潤

T4:膵を超える浸潤あるいは周囲臓器浸潤

《リンパ節転移》

NX:評価不能

N0:領域リンパ節転移なし

N1:領域リンパ節転移あり

《遠隔転移》

M0:遠隔転移なし

M1:遠隔転移あり

〈ICD分類〉

胆のう、胆管、十二指腸乳頭上皮内がん ⇒ D01.5

肝内胆管がん ⇒ C22.1

胆のう胆管がん ⇒ C23

胆外胆管がん ⇒ C24.0

十二指腸乳頭部がん ⇒ C24.1

胆道の境界線病巣 ⇒ C24.8

胆道がんNOS ⇒ C24.9