貧血は、酸素供給の役割の担っている血液中のヘモグロビンを構成する赤血球が減少し、そのために体内の細胞が酸素欠乏状態になることで起こりますが、ここではそれ以外の理由で貧血になったものを挙げます。
〈ICD分類〉
・鉄芽球性貧血:赤血球のヘム合成(鉄とヘモグロビンの化合物)の過程で障害が起こり、鉄の利用効率が低下して起こる貧血のことです。ちなみに鉄芽球とは骨髄で造られている赤芽球(赤血球の母細胞)に鉄顆粒と呼ばれる物質が沈着している血球のこと。つまり、赤血球のヘモグロビン合成が正常に行われない病気で、鉄があっても使うことが出来ずにいる貧血のことをいいます。 ⇒ D64.0-64-3
・骨髄異形成症候群(MDS:不応性貧血):骨髄の造血機能の異常により、赤血球、白血球、血小板のすべて減少している状態です。病型によっては白血病に移行しやすいものもあります。
1)不応性貧血(RA):芽球が末梢で1%未満、骨髄で5%未満であり、環状鉄芽球を持たないもの。 ⇒ D46.0
2)鉄芽球性不応性貧血(RARS):環状鉄芽球が全赤芽球の15%以上を占めるもの。⇒ D46.1
3)芽球増加型不応性貧血(RAEB):骨髄で芽球が5%を超えるか末梢で1%を超えるもの。(5~9%:RAEB-1、10~19%:RAEB-2)
白血球移行期と記載のないもの ⇒ D46.2
白血球移行期と記載のあるもの ⇒ D46.3
4)詳細不明
不応性貧血(詳細不明) ⇒ D46.4
骨髄異形成症候群(詳細不明) ⇒ D46.9
・汎血球減少症・・・何らかの原因により、血液中の赤血球、白血球、血小板のすべての血中細胞成分が全体的に減少する症候。
※鑑別すべき疾患として以下のものが重要である。
・骨髄異形成症候群(MDS)
・再生不良性貧血(AA)
・巨赤芽球性貧血
・発作性夜間血色素尿症(PNH)
・鉄芽球性貧血
・血球貧食症候群(HLH)
・悪性腫瘍の骨髄への転移
・全身性エリトマト―デス(SLE)
・HIV感染
・パルボウイルスB-19感染
・薬剤性汎血球減少
⇒ 原因が特定出来る場合には、その対応コードを、詳細不明の場合には、D61.9のコードをつけます。