【胆のうと胆汁】
胆のうは右上腹部にあり、肝臓で作られた胆汁を溜めておく臓器です。胆汁とは、油脂の分解を助ける消化液です。
【胆石とは?】
胆石は胆のうや胆管内で出来た結晶で、胆のうにあるときには胆のう結石(胆石症)、胆管にあるときには総胆管結石症、肝臓内にあるときには肝内結石症といいます。日本では胆のう結石がもっとも多く、胆石全体の約80%を占めます。
胆のう結石の60%はコレステロール胆石(コレステロールを70%以上含む結晶)と言われています。胆管結石では、カルシウム・ビリルビン結石(カルシウムとビリルビンの結晶)がほとんどです。
つまり胆石の原因は、胆汁は溶けているコレステロール、ビリルビンなどの物質が様々な原因(胆汁中に過剰に排泄、胆道感染など)により胆汁中に溶けきれなくなり、結晶化することにあります。
【急性胆のう炎とは?】
急性胆のう炎の原因の約90%は、胆のう結石が胆のうに挟まり、胆のうと胆管をつないでいる胆のう管が詰まってしまうことによって起こることになります。そのほか、胆のうが詰まってしまう原因としては、胆管の奇形や捻転、胆のうと隣り合う臓器の炎症や腫瘍による胆のう管への圧迫、寄生虫が胆管や胆のうに潜り込むことなどが挙げられます。
ただし、胆のう管が詰まってしまうことだけでは、急性胆のう炎は起こりにくく、詰まってしまうことに加えて胆汁に細菌が感染したり、胆のう内に膵炎が逆流したりすることにより、胆のう炎が引き起こされると考えられています。
【急性胆のう炎の種類】
カタル性胆のう炎:胆のうが軽く炎症を起こしている。
化膿性胆のう炎:膿が溜まり、胆のうが腫れている。
壊死性胆のう炎:重症化して胆のうの一部が壊死したり、穴が開いたりする。
気腫性胆のう炎:細菌の影響で胆のうの内外にガスを発する。
【慢性胆のう炎】
慢性胆のう炎は、胆のうに慢性の炎症性変化をきたした病気です。胆石症を合併していることが多く、胆石により、胆のう壁が慢性的な刺激を受けて炎症を起こし、胆のうの壁が厚くなってしまいます。急性胆のう炎が繰り返されることで起こるものと、最初から慢性的に経過するものがあります。症状は急性に比べて軽いことが多いです。
〈ICD分類〉
急性胆のう炎を伴う胆のう結石 ⇒ K80.0
慢性胆のう炎を伴う胆のう結石 ⇒ K80.1
胆のう炎を伴わない胆のう結石 ⇒ K80.2
胆のう炎を伴う胆管結石 ⇒ K80.4
その他の胆石症 ⇒ K80.8
急性胆のう炎 ⇒ K81.0
慢性胆のう炎 ⇒ K81.1
その他の胆のう炎 ⇒ K81.8
胆のう炎NOS ⇒ K81.9