肝硬変

 
やまねこ
肝硬変は種類によってICDコードもだいぶ変わってくるので注意だニャ

【肝硬変とは?】

肝硬変とは、慢性肝炎を発症して肝臓に長く炎症を生じることで、肝臓の組織が線維化して硬くなる病気のことです。原因としては、B型・C型肝炎ウイルス感染、アルコールの多飲、肥満、免疫異常などが挙げられます。また最終的には肝機能が著しく低下するだけでなく、肝臓がんを発症するリスクも高くなります。

【代償性と非代償性】

「代償性」とは肝臓の機能が何とか保たれており、症状は現れないことが多い状態です。「非代償性」は肝機能を代償することが出来ない程度にまで悪化している状態をいいます。ウイルス性、アルコール性、非アルコール性、自己免疫性などによる炎症が長期にわたり起こることが主な原因です。

《チャイルド・ピュー分類》

グレードA軽度の肝硬変で肝臓の機能が何とか保たれている状態です。(代償性肝硬変)

グレードB中程度の肝硬変で、軽度な合併症(症状)がみられます。

グレードC重度の肝硬変で肝臓の機能が維持出来なくなり、様々な合併症(症状)が現れます。(非代償性肝硬変)

【肝硬変の種類】

《肝炎ウイルスによる肝硬変》

B型肝硬変B型肝炎ウイルス(HBV)が原因となります。多く場合、慢性化せずに急性期で完治しますが、一部持続感染をする人もいます。この炎症が持続している状態が慢性肝炎で、そのまま炎症が続くと、肝細胞の破裂と肝臓の線維化が進み、やがて肝硬変に至ります。

C型肝硬変C型肝炎ウイルス(HCV)が原因となります。輸血から生じる肝炎症例の大部分をC型肝炎が占めており、高い確率で慢性化し、肝硬変に至ります。このC型肝炎ウイルスによる肝硬変がもっとも肝臓がんになる可能性が高いとされています。

《非B非C型の肝硬変》

アルコール性肝硬変アルコールを長期的に多量に飲んでいることが原因で起こる肝硬変です。ほかの肝硬変ではないことを血液検査で確認する必要があります。

肥満と関連する肝硬変食べすぎや運動不足のために脂肪肝から脂肪性肝炎にあり、さらに肝硬変に至る病態です。肝臓のメタボリック症候群と言われています。

自己免疫性肝硬変血液検査でALT値異常に加えて抗核抗体(ANA)、抗平滑筋抗体、抗LKM抗体などの自己抗体が陽性であること、IgGが多いことで診断される肝硬変です。

原発性胆汁性胆管炎(PBC)血液検査で胆汁の流れが滞ったときに変化する血液の中で、ALP、γ-GTPなどの胆道系酵素の上昇に加えて、抗ミトコンドリア抗体(抗M2抗体)が陽性でIgMが多いことで診断され、進行すると肝硬変へ進展します。

※原発性胆汁性胆管炎は、2016年まで原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていました。これは病気が発見されたころは初期の段階で診断が出来ず肝硬変の状態まで進行していたからです。現在は無症状性の段階で診断がつき、実際には肝硬変まで進展していない場合がほとんどです。

原発性硬化性胆管炎胆道造影検査で肝臓の中の胆管が数珠のような形状になった所見から診断され、進行すると肝硬変へ進展します。

【肝硬変の合併症】

食道静脈瘤主に肝硬変が原因となって起こる門脈圧亢進症によって、本来食道動脈瘤へ流れるはずのない血液が食道静脈へと流れ込み、静脈が拡張することによって出来る瘤のことをいいます。無症状ですが、放置すると破裂や出血を引き起こすことがあります。

肝性脳症肝硬変が進行し、肝機能が低下すると、腸管より吸収されたアンモニアを肝臓で解毒出来なくなります。すると、全身循環にアンモニアが流入し、脳に達して精神症状を起こします。これが肝性脳症です。

〈ICD分類〉

B型肝硬変 ⇒ B18.1† K74.6*

C型肝硬変 ⇒ B18.2† K74.6*

肝性脳症 ⇒ K72.9

原発性胆汁性肝硬変(原発性胆汁性胆管炎)⇒ K74.3

続発性胆汁性肝硬変(続発性胆汁性胆管炎)⇒ K74.4

胆汁性肝硬変(胆汁性胆管炎)NOS ⇒ K74.5

自己免疫性肝硬変 ⇒ K74.6

代償性肝硬変 ⇒ K74.6

非代償性肝硬変 ⇒ K74.6

肝硬変NOS ⇒ K74.6

門脈圧亢進症 ⇒ K76.6

肝障害による出血を伴わない食道静脈瘤 ⇒ K70-K71†、K74.-† I98.2*

肝障害による出血を伴う食道静脈瘤 ⇒ K70-K71†、K74.-† I98.3*

原発性硬化性胆管炎 ⇒ K83.0