【脳浮腫とは?】
脳浮腫とは、脳細胞の周囲や脳血管周囲などの細胞外腔に水分が異常に貯留をしたむくんだ状態のことをいいます。脳細胞内や脳血管床の増大は脳腫脹と呼ばれますが、厳密に区別することは困難です。
【脳浮腫の分類】
脳浮腫はその発生機序によって3型に分けることが出来ます。
血管原性浮腫:脳挫傷や脳出血、膿瘍、腫瘍などの原因によって、毛細血管の内皮細胞と隣接する星細胞が作る血液脳関門が破綻することで生じます。透過性の亢進によって血漿成分が細胞外腔に漏出貯留します。主に白質に生じます。
細胞毒性浮腫:低酸素症、中毒、代謝障害などの原因によって、血管内皮細胞、グリア細胞、神経細胞内の液体成分が増加することによって生じます。血管原性浮腫から時間の経過によって移行してくるものもあります。白質、灰白質のいずれにも起こります。
周囲組織内浮腫:水頭症の際に見られる浮腫です。脳室内の水分が脳室上衣を介して周囲脳組織に浸透するものです。
【脳浮腫の原因】
脳浮腫は、脳腫瘍、脳血管障害、頭部外傷、感染など、頭蓋内の病変が原因で起こることが多いです。また呼吸障害や中毒、代謝障害などの頭蓋内の病変によって起こることもあります。
【治療】
脳浮腫による異常な水分貯留は、脳組織圧、頭蓋内圧を上昇させ、これが脳低酸素状態を招き、さらに脳浮腫を増悪させる悪循環を引き起こします。したがって、脳浮腫を火急に処置しなければ、頭蓋内圧亢進を来たし、さらに脳ヘルニアを起こして、死亡する場合もあります。主な治療としては、根本治療ではなく、対処療法になります。頭蓋内圧を下げるために、グリセオールやマンニトールといった脳圧降下薬の点滴を行うほか、脳の圧力が高まり過ぎた場合には、開頭手術によって頭蓋骨の一部を取り外し、圧力を逃がすこともあります。
〈ICD分類〉
脳浮腫 ⇒ G93.6