【口唇裂・口蓋裂とは?】
おなかの中で胎児が成長する際に、胎児に異常な力が加わったり、母体の栄養不良やストレス、さらに形態異常を誘発する薬の使用、風疹の罹患、放射線照射を浴びるなどが原因や遺伝などの原因で、癒合がうまくいかなくなってしまうことがあります。
癒合がうまくいかないと、その部分に裂け目が残ってしまいます。それが、唇が割れた口唇裂(こうしんれつ)や、口蓋が裂けて口腔と鼻腔がつながっている口蓋裂(こうがいれつ)です。口蓋裂には、一見、口蓋に裂け目がないように見えても、粘膜下の筋肉の断裂が起きているものがあり、これを粘膜下口蓋裂といいます。上顎の歯茎が裂けている場合は、顎裂(がくれつ)といいます。
これらの異常はしばしば合併します。口唇裂と顎裂の合併を顎唇裂(がくしんれつ)、顎裂と口蓋裂の合併を顎口蓋裂(がくこうがいれつ)、口蓋裂、顎裂さらに口蓋裂の合併を唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)と呼びます。
また口唇裂、口蓋裂、口唇口蓋裂を総称して、口腔裂と呼ぶこともあります。
【症候群性と非症候群性】
口腔裂は症候群性(30%)と非症候群性(70%)の2群に分けられます。
症候群性:認識された先天性症候群または複数の先天奇形を有する患者にみられます。典型
的には、染色体異常および明らかな単一遺伝子症候群によって引き起こされます。
非症候群性(孤発性):合併奇形および発達地帯がない患者にみられます。
【治療】
通常、生後3-4カ月以降で手術を行います。
《唇裂手術》
粘膜、筋肉、皮膚を本来あるべき位置に修正し、縫合します。
《口蓋裂手術》
1歳くらいで手術を行うのが普通です。中央の列を筋肉とともに閉鎖し、延長して言葉や飲食物が鼻に抜けないようにします。手術の前後は言語聴覚士によって正常な言語発達が得られているか確認していきます。
〈ICD分類〉
口蓋裂 ⇒ Q35.1-9
唇裂 ⇒ Q36.0-9
唇裂を伴う口蓋裂 ⇒ Q37.0-9
〈ICD9-CM〉
口腔の形成的整復術 ⇒ 27.51-9
口蓋形成術 ⇒ 27.61-9