【ざ瘡(にきび)とは?】
ざ瘡(にきび)は、顔面や上半身に吹き出物などが生じる、よくある皮膚疾患です。通常、毛穴が古い角質で詰まるなどして塞がり、外に出られなくなった皮脂が毛穴の中にたまることで生じます。性ホルモンの影響で皮膚から分泌される皮脂が増えるとより生じやすくなるため、思春期に多く見られることで有名です。
【原因】
毛穴に皮脂が溜まった状態を面皰(めんぽう:コメド)といいますこの面皰の中でアクネ菌が増殖することで炎症が起こり、皮膚が盛り上がったり、膿疱が出来たりします。
アクネ菌は、誰の毛穴にもいる常在菌です。皮膚を弱酸性に保って他の菌の増殖を抑える役割をしてくれる一方で、面皰内で増殖するとざ瘡(にきび)を悪化させる要因にもなります。またざ瘡(にきび)を引き起こす一般的な誘因は以下の通りです。
・思春期
・妊娠または月経
・多嚢胞性卵巣症候群
・特定の薬
・皮膚に塗られる特定の製品やきつすぎる衣服
・高い湿度と発汗
【ざ瘡(にきび)の形状】
黒色面皰(開放面皰):毛包(皮膚の中で毛髪が生えてくる部分)が不完全に詰まった場合に出来ます。
白色面皰(閉鎖面皰):毛包が完全に詰まった場合に出来ます。
吹き出物:アクネ菌によって炎症を起こした白色面皰
丘疹:硬い隆起
膿疱:内部に膿が溜まった皮膚表層の隆起
結節:内部に膿が溜まった皮膚深層に及ぶ硬い隆起
嚢腫:内部に膿が溜まった大きな空洞
膿瘍:内部に膿が溜まった皮膚深層に及ぶ空洞
【ざ瘡(にきび)の種類】
尋常性ざ瘡:いわゆる一般的なざ瘡(にきび)のことです。
集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう):最も重度のざ瘡(にきび)です。膿瘍から重度の瘢痕やそのほかの合併症が生じます。顔面だけでなく、腕、腹部、臀部、さらには頭皮にまで現れることもあります。
【ざ瘡(にきび)の重症度と治療法】
ざ瘡(にきび)の重症度は、軽度、中等度、重度の三段階に分かれます。
《軽度》
非炎症性の黒色面皰や白色面皰がごく少数、または小さな炎症を起こし、吹き出物がそれよりも若干多く出来る程度のもの。⇒ トレチノインクリーム、場合によっては過酸化ベンゾイルや抗酸菌、またはその両方の外用
《中等度》
黒色面皰、白色面皰、吹き出物、膿疱が多くなります。⇒ 抗菌薬の内服と軽度のざ瘡(にきび)に対するものと同じ薬剤の外用
《重度》
非常に多くの黒色面皰や白色面皰、吹き出物、納付緒、または嚢腫性ざ瘡のいずれかが生じます。⇒ イソトレチノインの内服。嚢腫性ざ瘡に対しては、コルチコステロイドの注射。
〈ICD分類〉
尋常性ざ瘡 ⇒ L70.0
集簇性ざ瘡 ⇒ L70.1
痘瘡ざ瘡 ⇒ L70.2
熱帯性ざ瘡 ⇒ L70.3
小児ざ瘡 ⇒ L70.4
若年性女子表皮剥離ざ瘡 ⇒ L70.5
その他のざ瘡 ⇒ L70.8
ざ瘡NOS ⇒ L70.9