大腸憩室症および大腸憩室炎

 
やまねこ
大腸憩室症は通常は無症状だニャ。でも出血や炎症などが起こると敗血症や腹膜炎になどになるおそれがあるので治療が必要だニャus

【大腸憩室症とは?】

憩室とは、腸の壁のもろい部分が腸の外側へ向かって袋状に飛び出したもののことをいいます。大腸に限らず、胃、十二指腸や小腸にも出来ます。通常は無症状ですが、憩室部の血管が破れて出血する大腸憩室出血や、憩室内に細菌が感染して起こる大腸憩室炎といった急性疾患の合併につながることがあります。

【発生部位】

発生部位によって左側型(下行結腸、S状結腸、直腸)、右側型(上行結腸、盲腸)、両側型に分類されます。日本では右側およびS状結腸に発生する頻度が高いとされていますが、近年では左側型の割合が増加傾向にあります。

【原因】

憩室は先天性または後天性の原因で腸管内圧が上昇することで形成されます。多いのは後天性で、その要因として食物繊維摂取量の不足や、加齢に伴う大腸の衰え、便秘による腹圧の上昇などが挙げられます。

【大腸憩室症の合併症】

≪大腸憩室出血≫

憩室出血は文字通り憩室から出血することを意味します。腹痛は伴わないことが多く、鮮血便が主な症状です。

多くは保存的治療によって止血するのを待ちます。出血量が多かったり、出血が持続したりする場合は、内視鏡的止血術が試みられます。内視鏡的止血術がうまくいかない場合は、動脈塞栓術が行われます。それもうまくいかない場合は、外科的手術の適応となります。

≪大腸憩室炎≫

憩室の中で細菌が繁殖し、炎症を起こすことで発症します。持続的な腹痛や発熱、下痢、悪心嘔吐などが主な症状です。

発熱や腹膜炎症状を伴わない憩室炎には抗菌薬の服用や流動食による保存的治療が行われます。一方で膿瘍を伴うものの腹膜炎が限局的な場合や、抗菌薬投与で改善しない場合は、経皮的ドレナージが行われます。経皮的ドレナージがうまくいかない場合は、外科的手術の適応となります。

〈ICD分類〉

腸の憩室疾患、(小)(大)腸憩室症、憩室出血、憩室炎 ⇒ K57.0-9

虫垂憩室 ⇒ K38.2

メッケル憩室 ⇒ Q43.0

腸の先天性憩室 ⇒ Q43.8