【慢性腎臓病(CKD)とは】
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいは蛋白尿が出るといった腎臓の異常が続く状態をいいます。
腎臓の機能が10%以下にまで低下すると、生命の危険をきたし、透析治療をすることになります。
慢性腎臓病(CKD)は心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になります。
【原因】
慢性腎臓病(CKD)の原因となる主な腎臓の慢性疾患は以下の通りです。
ⅰ)糖尿病による腎臓障害
ⅱ)慢性糸球体腎炎
ⅲ)腎硬化症
ⅳ)嚢胞腎
ⅴ)膠原病
【慢性腎臓病と慢性腎不全の違い】
これまで腎臓が長い年月の中で徐々に悪くなっている場合の病態は慢性腎不全と呼ばれていました。ただ時代が経るにしたがって透析を必要とする末期腎不全患者が増加してきています。
慢性腎臓病(CKD)という概念は、そうした状況を踏まえた上で、早期発見による進展予防を促すために導入されることになったのです。
つまり慢性腎臓病とは、慢性に経過する腎疾患や腎臓の障害を、慢性糸球体腎炎・糖尿病腎症・慢性腎不全などの従来の疾患分類とは別に、腎障害の存在と糸球体濾過値(GFR)に基づいて、末期腎不全や心血管疾患のリスクとして包括的に捉えようという概念なのです。
【慢性腎臓病(CKD)の定義】
ⅰ)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか。特に蛋白尿の存在が重要。
ⅱ)GER<60ⅿL/分/1.73㎡
ⅲ)ⅰ、ⅱのいずれか、または両方が三か月以上持続する。
【慢性腎臓病(CKD)の重症度分類】
慢性腎臓病の重症度は、原因(Cause:C)、腎機能(GER:G)蛋白尿(アルブミン尿:A)によるCGA分類で1~5の5段階で評価されます。
〈ICD分類〉
慢性腎臓病、ステージ1 ⇒ N18.1
慢性腎臓病G1(GER値 >90) ⇒ N18.1
慢性腎臓病、ステージ2 ⇒ N18.2
慢性腎臓病G2(GER値 60~89) ⇒ N18.2
慢性腎臓病、ステージ3 ⇒ N18.3
慢性腎臓病G3a(GER値 45~59) ⇒ N18.3a
慢性腎臓病G3b(GER値 30~44) ⇒ N18.3b
慢性腎臓病、ステージ4 ⇒ N18.4
慢性腎臓病G4 ⇒ N18.4
慢性腎臓病G5(GER値 ≦15) ⇒ N18.5
末期腎不全 ⇒ N18.5