様々な電解質異常③ ナトリウム(Na) 

 
やまねこ
汗をかいたら、ナトリウムも失われるニャ。運動後にスポーツドリンクを飲みたくなるのは、ナトリウムの濃度が水よりも高いからだニャ

ナトリウム(Na):体内のナトリウムは、ほとんどが血液中または細胞の周囲の体液中に存在しており、正常な体液のバランス7を保つ働きをしています。また神経と筋肉の正常な機能に重要な役割を果たしています。

ナトリウムは食べ物や飲み物から摂取され、主に汗や尿と一緒に体の外へ排出されます。健康な腎臓は、尿の排出量を調節することで、体内のナトリウム濃度を一定に維持してきます。ナトリウムの摂取量と排出量のバランスが崩れると、体内の総ナトリウム量が影響を受けます。

[血液量の調節]

ナトリウムの総量は血液中の水分量や細胞の周囲になる体液量に影響します。体は常に血液量とナトリウム(や他の電解質)の濃度を監視しています。どちらかが高くなり過ぎると、心臓、血管、腎臓にある感覚器官がそれぞれを察知し、腎臓を刺激してナトリウムの排出量を増やし、それによって血液を正常に戻します。反対に、血液量またはナトリウム濃度が低くなり過ぎると、感覚器官は血液量を増やす仕組みを作動させます。

[血液量を増やす仕組み]

⇒ 腎臓が副腎を刺激してアルドステロンというホルモンを分泌させます。アルドステロンは腎臓に働きかけ、ナトリウムを貯留させてカリウムを排出させます。結果、ナトリウムが保持され、尿の量は少なくなり、次第に血液量が増加します。

⇒ 下垂体が抗利尿ホルモンを分泌します。抗利尿ホルモンは腎臓に水分を貯留されます。そのため血液量が増加します。

≪低ナトリウム血症≫

体液量に対し、含まれるナトリウムの量が少なすぎる場合に発生します。体液の量が多すぎる場合、少なすぎる場合、正常な場合と様々であるが、いずれの状況でもナトリウムが希薄になっています。たとえば、重度の嘔吐や下痢ではナトリウムが失われてしまいますが、その後、失われた体液のうち水分だけが補給されると、ナトリウム濃度は低下してしまいます。また、肝硬変や心不全などの病気になると、体はナトリウムと体液を保持するようになります。しばしばナトリウムよりも体液を保持する働きの方が強くなり、ナトリウム濃度が低下することがあります。

≪抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)≫

下垂体による抗利尿ホルモンの放出量が多すぎる場合に発生し、体液が保持されて、ナトリウムの濃度が希釈により低下します。

≪高ナトリウム血症≫

体内の水分量がナトリウムの量に対して少なすぎる状態のことです。水分の喪失量がナトリウムの喪失量を上回ると、血液中のナトリウム濃度が異常に高くなり、脱水によって起こるのが典型的です。まれに副腎の疾患が脱水を伴わない高ナトリウム血症を引き起こします。重度の高ナトリウム血症は、錯乱、筋肉の痙攣、発作、昏睡を起こし、死に至ります。

〈ICD分類〉

低ナトリウム血症 ⇒ E87.1

抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)⇒ E22.2

高ナトリウム血症 ⇒ E87.0