骨盤臓器脱

 
やまねこ
骨盤臓器脱は、出てくる臓器によって呼び方が違うニャ

【骨盤臓器脱とは?】

骨盤内の臓器(膀胱、子宮、直腸)は骨盤底筋群という筋肉や靭帯が骨盤内にハンモック状に張られていて、これらにより落ちないように支えられています。またこの骨盤底筋群が収縮することによって、尿道や膣そして直腸が締まり尿や便が漏れない仕組みになっています。骨盤臓器脱とは、この骨盤底筋群が緩むことで膣から体外に臓器が出てくることをいいます。中高年の女性に多く、出産経験がある人なら誰にでも起こる可能性があります。

【骨盤臓器脱の種類】

子宮脱子宮を支える靭帯が緩むことで起こる。

膣断端脱子宮を切除した場合に膣壁が出てくる。

膀胱瘤膣の前側にある筋膜が緩むことで起こる。

直腸瘤膣の後ろ側にある筋膜が緩むことで起こる。

※これらは合併して起こることも多くあります。

【原因】

出産によって骨盤内の臓器を支えている筋肉や靭帯(骨盤底筋群)が多く伸びて損傷することに加え、加齢や閉経による女性ホルモンの減少などでさらに強度が低下することで、骨盤臓器脱の症状が出てきます。また肥満や慢性の咳、便秘なども原因となります。

【治療】

原則的には手術の適応となりますが、初期の場合や持病などで手術が受けられない場合には、生活の見直しや、骨盤底筋体操、装具療法などが有効です。

ペッサリー療法:膣内でペッサリーを挿入して、子宮の出口にはめ込んで固定し、子宮が出ないようにする。2~3ヵ月に1回は交換する必要がある。

子宮摘出+膣壁形成術:膣を通して子宮を摘出し、膀胱と膣、直腸と膣を支える筋膜・靭帯を補強する手術。20~30%の確率で再発する。

経膣メッシュ手術:膣壁と膀胱の間にメッシュを挿入して臓器を支える手術。子宮を摘出しない一方で、性交渉のある人や妊娠を希望する人には勧められない。

腹腔鏡下仙骨膣固定術:子宮の上半分を切除し、残った子宮と膣壁の前後にメッシュを縫い付けて引き上げ、骨盤の一部である仙骨に固定する手術。

〈ICD分類〉

女性尿道瘤 ⇒ N81.0

膀胱瘤、尿道瘤を伴う膀胱瘤、膣(前)壁脱NOS ⇒ N81.1

不完全子宮脱、子宮脱第1度第2度 ⇒ N81.2

完全子宮膣脱、全子宮脱NOS、第3子宮脱 ⇒ N81.3

子宮膣脱NOS、子宮脱NOS ⇒ N81.4

膣(小)腸瘤 ⇒ N81.5

直腸瘤 ⇒ N81.6

その他の女性性器脱 ⇒ N81.8

女性性器脱NOS ⇒ N81.9

子宮切除後膣(壁)脱 ⇒ N99.3

妊娠または分娩に合併する性器脱 ⇒ O34.5

〈ICD9-CM〉

子宮脱手術(膣壁裂創縫合術、子宮筋腫核出術)⇒ 70.50

子宮脱手術(前後壁裂創、腹式子宮全摘術)⇒ 70.50

膀胱瘤および直腸瘤の修復 ⇒ 70.50

前膣形成 ⇒ 70.51

子宮脱手術(前壁裂創、腹式子宮全摘術)⇒ 70.51

膀胱瘤の修復 ⇒ 70.51

後膣壁縫合 ⇒ 70.52

子宮脱手術(後壁裂創、腹式子宮全摘術)⇒ 70.79

子宮脱手術(膣壁形成手術及び子宮位置矯正術)⇒ 70.79

膣ペッサリーの交換術 ⇒ 97.25

膣ペッサリーの挿入術 ⇒ 96.18