陰茎がん

 
やまねこ
陰茎がんの原因は、包茎、ヒトパピローマウイルス、喫煙などが関係しているといわれているニャ

【陰茎がんとは?】

陰茎がんは陰茎の亀頭、包皮などに好発する悪性腫瘍です。先進国では非常に稀とされ、発生頻度は10万人に1人といわれています。日本では悪性腫瘍の1%以下とされ、60~80歳の男性に多くみられます。原因としては、包茎、ヒトパピローマウイルス、喫煙などが発症に関連していると言われています。

またときに梅毒などの性感染症との鑑別が必要になります。尖圭(せんけい)コンジローマも陰茎に出来る腫瘍ですが、良性腫瘍であり、悪性化は稀です。

【病期分類】

《TNM分類》

[T:原発腫瘍]

TX原発腫瘍の評価が不可能

T0原発腫瘍を認めない

Tis上皮内がん

Ta疣贅性非浸潤がん

T1上皮下結合組織に浸潤する腫瘍

T1a脈絡浸潤がなくグレード1-2

T1b脈絡浸潤があるか、あるいはグレード3-4

T2尿道海綿体または陰茎海綿体に浸潤する腫瘍

T3尿道への浸潤

T4その他隣接臓器への浸潤

[N:リンパ節転移]

NX所属リンパ節の評価が不明

N0触知可能、または肉眼的に腫大した鼠経リンパ節なし

N1触知可能で可動性のある片側の鼠経リンパ節腫大

N2触知可能で可動性のある多発または両側の鼠経リンパ節腫大

N3触知可能な片側または両側の可動性のない鼠経リンパ節腫瘤または骨盤リンパ節腫大

[M:遠隔転移]

M0遠隔転移を認めない

M1遠隔転移を認める(小骨盤外へのリンパ節転移を含む)

《Jackson分類》

Ⅰ期腫瘍は、亀頭部、包皮、もしくは両側の表層に限局している

Ⅱ期腫瘍は、陰茎体部に浸潤している

Ⅲ期鼠経リンパ節転移を認めるが、手術可能である

Ⅳ期腫瘍は陰茎体部を越えて浸潤するが、手術不可能な鼠経リンパ節転移もしくは遠隔転移を認める

【治療】

治療には大きく分けて手術療法、放射線治療、進行がんに対する化学療法(抗がん剤治療)がありますが、主体は手術による切除になります。

《手術療法》

Jackson分類Ⅰ~Ⅲ期までが適応となります。陰茎を温存し、病変部のみを治療する陰茎温存療法と、腫瘍から2㎝以上の正常組織とともに陰茎を切除する陰茎切断術(TNM分類では、T2以上、T1b(グレード3以上))に分けられます。また病変の部位、浸潤度によっては、陰茎全切断術が必要となります。

臨床的にリンパ節転移が疑われる症例では通常鼠経リンパ節を摘除します。

《放射線治療》

適応は一般的に原発巣に限られ、比較的表在性の小さな腫瘍に対して行われます。

《化学療法》

リンパ節転移を有する症例ではリンパ節郭清と併用して化学療法を行うことがあります。

また化学療法を行い腫瘍の縮小を図ってから手術を行うこともあります。

抗がん剤としては通常、ブレオマイシン・ビングリスチン、メソトレキセートの3剤併用療法やシスプラチンと5-フロオロウラシル(5-FU)の2剤併用療法が行われます。

〈ICD分類〉

陰茎包皮がん ⇒ C60.0

陰茎亀頭部がん ⇒ C60.1

陰茎体部がん ⇒ C60.2

陰茎の境界部病巣 ⇒ C60.8

陰茎がんNOS ⇒ C60.9

〈ICD9-CM〉

陰茎悪性腫瘍切除術 ⇒ 64.2

陰茎部分切除術 ⇒ 64.3

陰茎全摘除術 ⇒ 64.3