【妊娠中の糖尿病とは?】
妊娠中の糖代謝異常には、妊娠前から糖尿病がある糖尿病合併妊娠と、妊娠中に初めて発見される糖代謝異常の2種類があります。
さらに、妊娠中に初めて発見される糖代謝異常には、正常よりも血糖値が高い糖尿病と診断するほどには高くない場合(妊娠糖尿病:GDM)と、糖尿病の診断基準を満たすことが妊娠中に判明した場合(妊娠中の明らかな糖尿病)の2つに分かれます。
《診断基準》
[妊娠糖尿病(GDM)]
75g経口ブドウ糖負荷試験において次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
- 空腹時血糖値≧92mg/dl
- 1時間値≧180mg/dl
- 2時間値≧153mg/dl
[妊娠中の明らかな糖尿病]※1
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
- 空腹時血糖値≧126mg/dl
- HbA1c値≧5%
*随時血糖値≧200mg/dlあるいは75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値≧200mg/dlの場合は、妊娠中の明らかな糖尿病の存在を念頭に置き、①または②の基準を満たすかどうか確認する。※2
[糖尿病合併症]
- 妊娠前にすでに診断されている糖尿病
- 確実な糖尿病網膜症があるもの
※1)妊娠中の明らかな糖尿病には、妊娠前に見逃されていた糖尿病と、妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けた明らかな糖代謝異常、および妊娠中に発症した1型糖尿病が含まれる。いずれも分娩後は診断の再確認が必要である。
※2)妊娠中、特に妊娠後期は妊娠による生理的なインスリン抵抗性の増大を反映して糖負荷後血糖値は非妊娠時よりも高値を示す。そのため、随時血糖値や75g経口ブドウ糖負荷試験後血糖値は非妊娠時の糖尿病診断基準をそのまま当てはめることは出来ない。これらは妊娠中の基準であり、出産後は改めて非妊娠時の「糖尿病の診断基準」に基づき再評価することが必要である。
【原因】
食べ物が消化吸収されると血糖値が上昇しますが、膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンによって血糖値は低下します。
妊娠後半期(妊娠20週以降)に生じるインスリンの効きが悪くなる主な原因は、胎盤から分泌されるホルモンだと考えられています。妊娠すると、胎盤からインスリンの働きが抑えるホルモンが分泌されるので、インスリンが効きづらくなり血糖値が上昇しやすくなります。
何らかの原因でインスリンの効きが悪くなったり、インスリンの分泌が不十分になったりするのに加えて妊娠後半期に生じる生理的なインスリンの効きが悪い状態になると血糖値のコントロールが上手く出来なくなり、血糖値が高くなります。
【治療】
妊娠糖尿病の治療では、母体と胎児に異常が起きないよう血糖値を厳重にコントロールする必要があります。
食事療法、運動療法、インスリン療法などを合わせて行い、血糖値は食前100㎎/dl未満、食後2時間120㎎/dl未満を目標とします。
〈ICD分類〉
1型糖尿病合併妊娠 ⇒ O24.0
2型糖尿病合併妊娠 ⇒ O24.1
既存の栄養失調症に関連する糖尿病合併妊娠 ⇒ O24.2
糖尿病合併妊娠NOS ⇒ O24.3
妊娠糖尿病 ⇒ O24.4
妊娠中の明らかな糖尿病 ⇒ O24.4
妊娠中の糖尿病NOS ⇒ O24.9
妊娠性糖尿病母体の児症候群 ⇒ O70.0
糖尿病(既存)母体の児症候群 ⇒ O70.1
新生児糖尿病 ⇒ P70.2
〈ICD分類〉
1型糖尿病合併妊娠 ⇒ O24.0
2型糖尿病合併妊娠 ⇒ O24.1
既存の栄養失調症に関連する糖尿病合併妊娠 ⇒ O24.2
糖尿病合併妊娠NOS ⇒ O24.3
妊娠糖尿病 ⇒ O24.4
妊娠中の明らかな糖尿病 ⇒ O24.4
妊娠中の糖尿病NOS ⇒ O24.9
妊娠性糖尿病母体の児症候群 ⇒ O70.0
糖尿病(既存)母体の児症候群 ⇒ O70.1
新生児糖尿病 ⇒ P70.2