【占拠部位】
膵臓は、膵頭部、膵体部、膵尾部の三つに区分されます。膵頭部:膵体部+膵尾部でのがんの発症率は、3:1です。
【病理組織学的分類】
膵臓がんはまず上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の二つに大きく分けられます。
また膵臓には消化酵素(アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど)を分泌する外分泌腺と、ホルモン(インスリンなど)を分泌する内分泌腺があり、膵がんも外分泌系がんと内分泌系がんに大きく二つに分けられます。外分泌系のがんが95%を占め、なかでも膵管の上皮から発生する浸潤性膵管がんが最も多く全体の85%を占めます。
Ⅰ.上皮性腫瘍
《外分泌腫瘍》
・漿液性嚢胞腫瘍(SCN):ほとんどが良性であり、そのため確定診断が出来れば経過を見てよい腫瘍です。極めて稀な腫瘍です。
・粘液性嚢胞腫瘍(MCTs):粘液を有する大型・多房性の嚢胞性病変で、中年女性に好発します。悪性度が高く、通常型膵がんに準じた治療が行われます。
・膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMNs):膵管上皮から発生する腫瘍で、膵管内発育と粘液産生を特徴とします。一般に悪性度が低く経過観察が可能でありますが、悪性化の所見があるものは手術治療の対象となります。
・異型上皮および上皮内がん
・浸潤性膵管がん:膵臓がんの約90%を占める代表的な組織型で、通常型膵がんとも呼ばれます。膵管に由来します。
・腺房細胞腫瘍:腺房に由来する比較的稀な腫瘍です。
《内分泌腫瘍》
内分泌腺(ランゲルハンス島)に由来し、約8割が何らかのホルモンを再生します。通常型膵がんに比べ、抗がん剤が効きにくいが進行も穏やかです。
・膵神経内分泌腫瘍:インスリンやグルカゴン(血糖を調節するホルモン)などを分泌する細胞から発生する腫瘍です。比較的稀で10万人に約3人程度とされています。
・併存腫瘍
・分類不能
・その他
・充実性偽乳頭状腫瘍(SPN):比較的若年の女性に多く、膵体尾部に発生しやすい、比較的稀な膵腫瘍です。5㎝以上は悪性とされます。
Ⅱ.非上皮性腫瘍
【病期分類】
ステージ0:上皮内がん(T因子:Tis)
ステージⅠ:がんの広がりが膵内にとどまり、リンパ節や他の臓器への転移、播種などが認められない。2㎝未満がⅠA、2㎝以上がⅠB。
ステージⅡ:がんの広がりが膵外に及んでも、周囲の重要な動脈(腹腔動脈、上腸間膜動脈)に浸潤がない。近傍のリンパ節に転移がないものがⅡB。
ステージⅢ:がんが膵周囲の重要な動脈(腹腔動脈、上腸間膜動脈)に浸潤している。
ステージⅣ:がんが離れた臓器への転移あり。
<ICD分類>
膵上皮内がん ⇒ D01.7
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMNs)⇒ D37.7
漿液性嚢胞腫瘍(SCN)⇒ D37.7
粘液性嚢胞腫瘍(MCTs)⇒ D37.7
膵神経内分泌腫瘍 ⇒ D37.7
膵頭部がん ⇒ C25.0
膵体部がん ⇒ C25.1
膵尾部がん ⇒ C25.2
膵管がん ⇒ C25.3
膵管内乳頭粘液性腺がん ⇒ C25.3
膵管内管状腺がん ⇒ C25.3
悪性膵内分泌腫瘍 ⇒ C25.4
膵その他の部位(膵頚部)⇒ C25.7
膵の境界部病巣 ⇒ C25.8
膵体尾部がん ⇒ C25.8
膵がんNOS ⇒ C25.9
膵粘液性のう胞腺がん ⇒ C25.9
膵漿液性のう胞腺がん ⇒ C25.9
充実性偽乳頭状腫瘍 ⇒ C25.9
膵腺房細胞がん ⇒ C25.9
膵脂肪肉腫 ⇒ C25.9
膵芽腫 ⇒ C25.9