横隔膜ヘルニアと食道穿孔ヘルニア

 
やまねこ
横隔膜ヘルニアの中で、胃の一部が食道に飛び出してしまったものが、食道裂孔ヘルニアだニャ

【横隔膜ヘルニアとは?】

胸腔と腹腔を隔て、肺を動かして呼吸をする手助けをするのが横隔膜と呼ばれる膜状の筋肉です。横隔膜ヘルニアとは、この横隔膜に穴が開くことによって、本来おなかの中にあるべき腸管や肝臓などの臓器が胸腔の中に入り込んでしまう病態のことをいいます。おなかの臓器が胸に入り込んで肺を圧迫するため、正常な呼吸が出来なくなります。

また横隔膜ヘルニアは、穴の開いた場所や原因によって分類されます。小児科領域で対象となるものとしては先天性横隔膜ヘルニアがあります。

【食道裂孔ヘルニアとは?】

横隔膜には元々血管や食道などが通る穴が開いています。食道裂孔ヘルニアとは、もともと開いていた食道が通る穴から、本来、横隔膜の下部にあるべき胃の一部が食道の方に飛び出してきてしまった状態のことをいいます。

食道裂孔ヘルニアの原因としては、肥満や妊娠、喫煙、腹水、気管支喘息など慢性的な症状などによる腹圧により、胃が押し上げられてしまうことがあげられます。

また加齢によって横隔膜の穴が広がりやすくなる場合や、生まれつき横隔膜がゆるく、食道裂孔ヘルニアが起こりやすい場合もあります。

食道裂孔ヘルニアになっている方は、胃噴門部に圧力がかかりやすく、胃食道逆流症(GERD)になりやすいと言われています。

【食道裂孔ヘルニアの種類】

滑脱型噴門部が横隔膜の上に出ているタイプ。

傍食道型胃の一部が横隔膜の上に出ているタイプ。

混合型噴門部と胃の一部の両方が横隔膜の上に出ているタイプ。

〈ICD分類〉

横隔膜ヘルニア ⇒ K44.0-9

食道裂孔ヘルニア ⇒ K44.9

先天性横隔膜ヘルニア ⇒ Q79.0

先天性食道裂孔ヘルニア ⇒ Q40.1