呼吸不全

 
 
やまねこ
呼吸不全は、急性と慢性、Ⅰ型とⅡ型で分類されるニャ

【呼吸不全とは?】

呼吸不全とは、呼吸障害によって安静時に酸素の供給が需要に追い付いていない状態のことをいいます。定義としては、「室内空気呼吸時の動脈血酸素分圧が60Torr以下になる状態:PaO2≦60Torr」となります。

【急性呼吸不全と慢性呼吸不全】

呼吸不全は、病態の経過によって急性と慢性に分類されます。呼吸不全期間が30日以下の場合は、急性呼吸不全、30日以上の場合は慢性呼吸不全になります。

呼吸不全期間<30日 ⇒ 急性呼吸不全

呼吸不全期間≧30日 ⇒ 慢性呼吸不全

【Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全】

Ⅰ型呼吸不全とは、酸素が上手く入って来なくても、二酸化炭素がどんどん出ていく状態のことを言います。定義としては、PaO2≦60Torrに加え、PaCO2≦45Torrとなります。Ⅰ型呼吸不全を呈する疾患としては、肺実質障害(重症肺炎、肺出血、肺線維症の急性増悪、間質性肺炎、無気肺)、肺循環障害(心原性肺水腫、ARDS、肺塞栓血症)、胸水貯留(結核性胸膜炎、癌性胸膜炎)などがあげられます。

Ⅱ型呼吸不全とは、酸素がはいってこずに、さらに二酸化炭素も出て行かない状態のことをいいます。定義としては、PaO2≦60Torrに加え、PaCO2>45Torrとなります。Ⅱ型呼吸不全を呈する疾患としては、気道障害(喘息重責発作、COPD増悪、気道異物など)、呼吸中枢抑制(急性脳血管障害、脳腫瘍、薬物中毒など)、呼吸筋麻痺・胸郭変形(ふぐ中毒、ギランバレー症候群、重症筋無力症、多発肋骨骨折など)があげられます。

PaO2≦60Torr + PaCO2≦45Torr(酸素が入って来ず、二酸化炭素が出ていく状態) ⇒ Ⅰ型呼吸不全

PaO2≦60Torr + PaCO2>45Torr(酸素が入って来ず、二酸化炭素も出て行かない状態)⇒ Ⅱ型呼吸不全

〈ICD分類〉

急性Ⅰ型呼吸不全 ⇒ J96.00

急性Ⅱ型呼吸不全 ⇒ J96.01

慢性Ⅰ型呼吸不全 ⇒ J96.10

慢性Ⅱ型呼吸不全 ⇒ J96.11

Ⅰ型呼吸不全 ⇒ J96.90

Ⅱ型呼吸不全 ⇒ J96.91

呼吸不全NOS ⇒ J96.99