下肢静脈瘤

 
やまねこ
下肢静脈瘤の治療は、部位や進行状態によって「保存的治療」「硬化療法」「血管内塞栓術」「血管内焼灼術」「外科手術」から選択するニャ

【下肢静脈瘤とは?】

下肢の静脈は、主に筋膜下・筋肉内を走行する深部静脈と、皮下を走行する表在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈)、それにこれらを繋げる穿通枝(交通枝)に分類されます。

通常下肢の静脈では、血液は重力に逆らって心臓に戻っていきますが、下肢静脈瘤を患ってしまうと、静脈の中にある逆流防止弁の機能が障害されて、立った状態では血液が逆流して下に戻ってしまい、その結果、必要以上に溜まってしまった血液(うっ滞)が、静脈圧の上昇を来して、瘤を形成してしまいます。

原因としては、静脈の中にある逆流防止弁事態に問題があるほか、深部静脈血栓症(DVT)や妊娠、骨盤内腫瘍などがあげられます。

【下肢静脈瘤の分類】

下肢静脈瘤は、部位と太さによって「クモの巣状静脈瘤」「網目状静脈瘤」「分枝型静脈瘤」「伏在型(ふくざいがた)静脈瘤」の4種類に分類されます。

クモの巣状静脈瘤皮膚内の毛細血管が拡張した静脈瘤です。静脈の直径は1mm以下で血管がクモの巣のように広がって見えます。伏在型に合併することが多いですが、進行して伏在型になることはありません。

網目状静脈瘤皮膚のすぐ下の小さな静脈に発生します。特に膝の後周囲に多く、直径1~3mmの静脈が網目状に拡張します。

分枝型静脈瘤伏在静脈から枝分かれした静脈に発生します。伏在静脈には逆流しません。

伏在型静脈瘤大伏在静脈や小伏在静脈の逆流防止弁が機能しなくなったことで発症する静脈瘤です。うっ滞性皮膚炎や潰瘍が起きることもあり、外科手術、血管内治療や硬化療法の適応となります。

【治療法】

下肢静脈瘤の治療法は、静脈瘤の生じている場所や症状の進行状態によって、「保存的治療」「硬化療法」「血管内塞栓術」「血管内焼灼術」「外科手術」などを選択します。

《保存的治療》

圧迫療法医療用弾性ストッキングを着用することで、静脈うっ滞を改善し、むくみや重足感を緩和させる治療法です。

《硬化療法》

硬化療法患部の血管に硬化剤を注入して閉塞させる治療法です。クモの巣静脈や網目状静脈瘤など直径3mm以下の細かい静脈瘤に適しています。

レーザー硬化療法:体の外からヤグレーザーを照射して静脈瘤を閉鎖させる治療法です。クモの巣状静脈瘤など小さな静脈瘤に適しています。

《血管内治療》

血管内塞栓術伏在静脈内にカテーテルを入れて、瞬間接着剤を注入して、血管を塞ぐ治療法です。

血管内焼灼術伏在静脈内レーザーファイバーやカテーテルを入れて、血管内の壁を熱で焼き、閉鎖させる治療法です。高周波(ラジオ波)を使う高周波治療と、レーザーを使うレーザー治療があります。

《外科手術》

ストリッピング手術(伏在静脈抜去術)弁の壊れた大伏在静脈内にワイヤーを通して、ワイヤーごと血管を引き抜く手術です。必要に応じて静脈瘤の切除も行います。伏在型静脈瘤の治療に適用される手術として最もポピュラーな根治手術です。

高位結紮術静脈を部分的に切除し結紮する治療法です。多くの場合、硬化療法などと組み合わせて治療を行います。

〈ICD分類〉

うっ滞性皮膚炎 ⇒ I83.1

下肢静脈瘤 ⇒ I83.9

〈ICD9-CM〉

下肢静脈瘤のストリッピング ⇒ 38.59

下肢静脈瘤の結紮 ⇒ 38.59