【心筋症の分類】
《特発性心筋症と特定心筋症の違い》
心筋症とは、心筋(心臓の筋肉)に構造的な異常をきたし、心臓のポンプ機能の低下を認める疾患の総称のことをいいます。原疾患のない特発性心筋症と、高血圧やアルコールなど原疾患のある特定心筋症に分類することが出来ます。
《心筋症の分類》
[特発性心筋症]
・肥大型心筋症
・拡張型心筋症
・拘束型心筋症
・不整脈源性右室心筋症
・分類不能型心筋症
[特定心筋症]
・虚血性
・弁膜症性
・高血圧性
・全身疾患(自己免疫疾患、サルコイドーシス等)
・筋ジストロフィー
・神経・筋疾患
・中毒性疾患(薬物等)
・アルコール性
・産褥性
【特発性心筋症の種類】
《拡張型心筋症(DCM)》
徐々に心筋収縮機能が低下していきます。そのうちに左心室が肥大し、心不全症状をきたす心筋疾患の一つです。かつては原因不明と言われていましたが、近年では家族性(遺伝の影響による)、心筋炎、自己免疫による原因が考えられています。
心不全治療を目的とした薬物治療が中心ですが、重症化した場合は、心臓同期療法が適応となることがあります。
《肥大型心筋症(HCM)》
高血圧や弁膜症などの心肥大を起こすほかの原因がないのに、左室に異常な肥大を起こす疾患です。原因の半数は、常染色体優性遺伝の家族内発症で、100以上の遺伝子によって経過や症状が異なります。また左室流出路閉塞をきたす場合は、閉塞性肥大型心筋症(HOCM)、きたさない場合は非閉塞性肥大型心筋症(HNCM)と呼ばれます。
無症状の場合は経過観察のみの場合もありますが、一般的には薬物療法が行われます。閉塞性の場合で薬物療法に抵抗がある場合には、手術治療も検討されます。
《拡張相肥大型心筋症》
肥大型心筋症の経過中に肥大した心筋壁が徐々に薄くなり、心臓のポンプ収縮不全に陥って拡張型心筋症様を呈する疾患です。心臓移植が適応されることがあります。
《拘束型心筋症(RCM)》
心筋の肥大がなく、心臓の働きも正常にもかかわらず、心臓が硬くなっていくことにより心不全をきたすという疾患です。比較的稀な史観で、正確な頻度は不明です。
進行性で現在のところ有効な治療法は確立されておらず、対処療法が中心となります。対処療法が無効な場合には心臓移植の検討も必要となります。
《不整脈源性右室心筋症》
他の心筋症が左心室を障害するのに対し、右心室に病変がおよび、心筋が線維や脂肪の進行性に置き換わり、右室壁が薄くなったり働きが悪くなったりする疾患です。心室性不整脈を頻発する疾患で、若年者で不整脈による突然死が多いとされています。
〈ICD分類〉
拡張型心筋症NOS ⇒ I42.0
拡張相肥大型心筋症 ⇒ I42.1
閉塞性肥大型心筋症 ⇒ I42.1
非閉塞性肥大型心筋症 ⇒ I42.2
心尖部肥大型心筋症 ⇒ I42.2
肥大型心筋症NOS ⇒ I42.2
拘束型心筋症 ⇒ I42.5
不整脈源性右室心筋症 ⇒ I42.8
特発性心筋症NOS ⇒ I42.9