【炎症性腸疾患の分類】
腸に炎症が起きる病気を「炎症性腸疾患」
といいます。炎症性腸疾患は、大きく急性であるか慢性であるか、そして原因が明らかであるか明らかでないかで分けられます。
急性で原因が明らかなもの:感染症や虚血症の腸炎、薬剤性の腸炎など
慢性で原因が明らかなもの:アメーバによる腸炎や腸結核など
慢性で原因が明らかでないもの:クローン病、潰瘍性大腸炎
大腸に炎症が起きるのが潰瘍性大腸炎で、小腸や大腸などあらゆる消化管に炎症が起きるものがクローン病です。
【潰瘍性大腸炎とは?】
潰瘍性大腸炎とは、大腸表面の粘膜が赤く腫れて、びらんや潰瘍になる病態です。症状は腹痛、下痢、下血などがあり、免疫異常が原因に関係していると思われています。国の難病指定に定められています。主に若い方に発症することが多いのですが、最近では中高年での発症も増えてきています。
【潰瘍性大腸炎の経過】
潰瘍性大腸炎には、炎症が起きて症状が強く表れている状態の「活動期」と、症状が治まった状態の「寛解期」があります。
大抵の場合、正しく治療を受けることで、寛解を維持することが出来ますが、再燃して活動期と寛解期を繰り返してしまう人もいます。
治療は薬剤治療が中心ですが、薬剤で炎症が治まらない場合は、外科治療になります。
【潰瘍性大腸炎の炎症の広がり】
潰瘍性大腸炎は、炎症の広がる範囲によって主に「直腸炎型」「左側大腸炎型」「全大腸炎型」の三つに大別されます。
直腸炎型:炎症の範囲が直腸のみ
直腸S状結腸型:炎症の範囲が直腸からS状結腸まで
左側大腸炎型:炎症の範囲が直腸からS状結腸、下行結腸まで
全大腸炎型:炎症の範囲がすべての大腸
〈ICD分類〉
潰瘍性大腸炎・全大腸炎型 ⇒ K51.0
潰瘍性大腸炎・直腸炎型 ⇒ K51.2
潰瘍性大腸炎・直腸S状結腸型 ⇒ K51.3
潰瘍性大腸炎・左側大腸炎型 ⇒ K51.5
潰瘍性大腸炎 ⇒ K51.9