【急性硬膜外血腫】
脳は外側から「頭蓋骨」「硬膜」「くも膜」「軟膜」と呼ばれる三つの膜で重なるように包まれています。硬膜外血腫とは、頭蓋骨と硬膜の間に溜まった血腫のことをいいます。多くの場合、骨折した頭蓋骨からの出血や、硬膜と頭蓋骨の間を走っている中硬膜動脈という血管が切れることでの出血が原因となっています。頭蓋骨骨折があれば、硬膜外血腫を引き起こす可能性が高いといえます。
またほかの原因として、硬膜の静脈(静脈洞)が出血源となることもあります。
意識清明期があることが特徴的と言われています。そのため、問題がなさそうに見えてしまうのですが、数時間後に急に意識が悪くなってしまいます。
【治療】
少量の血腫は、数カ月以上を要することもありますが、自然吸収により消失します。
また急性硬膜外血腫単独で、脳挫傷やびまん性軸索損傷を合併していなければ、血腫除去術で脳の圧迫を取り除くことによって、症状の回復が期待出来ます。
ただ血腫が急速に大量に増大してしまったり、治療が遅れた場合などで、脳ヘルニアが進行して脳幹の機能が失われた状態では、手術の危険性が高く、また血腫を取り除くことが出来たとしても、意識障害等の後遺症や死亡の危険性があります。
また全身麻酔下の開頭手術に際し、術後の脳圧排を軽減するために、あえて開頭した骨片をもとの部位に戻さずに、皮下組織と皮膚のみで閉頭し(外減圧術)、1~2ヵ月後に状態が落ち着いた時点で、保存しておいた骨片を戻して整復するという方法が取られることもあります。
〈ICD分類〉
外傷性硬膜外血腫 ⇒ S06.40-1
非外傷性硬膜外血腫 ⇒ I62.1
〈ICD9-CM〉
硬膜外血腫の除去を伴う開頭術 ⇒ 01.24
穿頭血腫除去術(硬膜外)⇒ 01.24
減圧開頭術 ⇒ 01.24